子ども用ヘルメットの必要性
子どもを自転車に乗せるとき、ヘルメットを着用させている人もいれば、そうでない人もいます。法律でどのような扱いになっているのか、知らない人もいることでしょう。子どもにヘルメットを着用させるべきなのか、見ていきましょう。
13歳未満の子どもに着用させる努力義務
自転車に幼児や児童を乗せるときは、ヘルメットを被せましょう。法律でも、努力義務が設けられています。
13歳未満の子どもが自転車に乗るときや大人と同乗するときは、保護者が子どもに対し、安全のためにヘルメットを着用させるように努める義務があるのです。着用させなくても罰則はありませんが、安全のために利用しましょう。
自治体によっては13歳未満だけでなく、18歳未満や高齢者などにもヘルメットを着用させる規則を定めています。住んでいる地域のルールを確認してみましょう。
事故の衝撃から頭部を守ろう
頭部は体のなかでも、生命を維持するための重要な部位です。自転車事故の死亡事故で最も多い理由が、頭部の損傷です。
警視庁が2019〜2021年までの間に、都内の自転車事故で死亡した人の損傷部位を調査したところ、「約70%」が頭部への致命傷が原因で死亡していることが分かっています。
頭部をけがしたときの死亡率は、頭部以外をけがした場合に比べて約15倍も高くなっており、ヘルメットを着用した方が安全ということが理解できるでしょう。
罰則の有無にかかわらず、大切な子どもの命を守るために着用させることが大切です。
子ども用ヘルメットの選び方
子ども用のヘルメットを選ぶときは、大人用のヘルメットを選ぶときとは違った視点も必要です。どのように選べばよいのか、見ていきましょう。
適切なサイズ・負担にならない重さ
子ども用のヘルメットは、頭の大きさに合った適切なサイズを選ぶことが大切です。メジャーを使って子どもの頭の周囲を計測し、ヘルメットのサイズと見比べて丁度よいものを選びます。
頭の大きさには個人差があるので、商品ごとに設けられている目安の年齢を過信せず、実際に計測することが大事です。商品によってフィット感が違うので、可能なら実際に被ってみて購入を検討しましょう。
「いずれ成長するから」と考えて大きすぎるものを選ぶと、肝心なときに脱げてしまい安全に使用できません。アジャスターなどで細かく調整できるものを選ぶと、ピッタリとフィットさせやすくなります。
また、子どもの負担にならない重量であるかも、チェックしたいポイントです。特に、小さな子どもは重いヘルメットを被ると首に負担がかかります。頭部がぐらつくと安定感がなくなり、うまく自転車を扱えなくなることも留意しましょう。
安全性やオプションも確認
安全面に配慮されたヘルメットかどうかを判断する基準のひとつに「SGマーク」があります。衝撃吸収試験やあごひもの有無など、国内の安全基準をクリアしているものに付けられているので、チェックしてみましょう。
海外製の商品であっても、一定の安全基準を満たしたものを選ぶことをおすすめします。
例えば、ヨーロッパの安全基準を満たしている商品には「CEマーク」、アメリカの安全基準を満たしている商品には「CPSCマーク」などが付いているので確認しましょう。
また、反射板が付いているものなら夜道でも車のライトに反射し、視認性が高くなります。通気性に配慮し通気口が設けられたものを選ぶと、汗っかきの子どもでも被りやすいでしょう。
参考:SG検査業務 | 一般財団法人 日本文化用品安全試験所
参考:CEマーキングの概要:EU | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ
子どもが気に入るデザイン
自転車事故に遭ったときに身を守る重要性を理解できる年齢であれば、保護者が危険性を説明してヘルメットを被ってもらうことができます。
しかし、小さな子どもだとヘルメットを嫌がって被ってくれないことがあるでしょう。どんなに安全性能に優れていても、正しく装着しなければ子どもの安全を守ってあげられません。
無理に被せるのは難しいので、選び方を工夫する必要があります。積極的に被りたくなるように、本人が好きなカラーやモチーフを取り入れたデザインを選ぶとよいでしょう。
子ども用ヘルメットはバリエーションが豊富で、乗り物・動物・キャラクターなど、様々なデザインのものが見つかるので本人の好みに合わせて選べます。
子ども用ヘルメットの種類
ヘルメットを見てどれも同じように感じる人は多いかもしれませんが、形状や素材に違いがあります。子ども用ヘルメットを選ぶ前に知っておきたい、種類ごとの特徴や違いをチェックしましょう。
軽くて扱いやすい「ソフトシェル」
ソフトシェルは発泡スチロールに、薄いプラスチックシートを被せたタイプです。軽量ですが安全性にこだわったものが多く、ヘルメットとしての性能に問題はありません。
小さな子どもでも扱いやすく、首に負担をかけないところが魅力です。大人の自転車に同乗させるときも頭の揺れを少なくできるので、子どもが嫌がりにくいでしょう。
子どもが小さいうちは、被りやすいソフトシェルを選ぶ方法がおすすめです。成長してきたらより頑丈で重めなタイプにしてもよいでしょう。
丈夫な「ハードシェル」
ハードシェルタイプはソフトシェルに比べ、厚みのあるABS樹脂などが使用されており、頑丈な作りです。
素材が分厚い分ソフトシェルに比べると重さはありますが、衝撃に強く壊れにくくなっています。自転車をハードに使用する場合や、スポーツなどにも使えるタイプを求めている人におすすめです。
大人の自転車に同乗させるときは軽いもの、1人で自転車に乗るときはより頑丈なハードシェルを選ぶというように使い分けてもよいでしょう。
安全性に優れたおすすめヘルメット
子ども用ヘルメットを選ぶとき、安全面を何よりも重視したいと考える人は多いはずです。日本の安全基準である、SG規格認証の商品を紹介します。
オージーケーカブト「PINE」
赤ちゃんのヘルメットデビューにおすすめな、1歳ごろから使える子ども用ヘルメットです。着用可能な頭の大きさは47~51cm程度で、小学校にあがる前くらいまで使用できます。
外側のソフトシェルと衝撃吸収ライナーを一体化させた、軽くコンパクトな設計です。強度を高めるために素材を熱で圧着させ、耐久性を高めています。
後頭部のゴム製バンドベルトで、サイズの微調整ができる作りです。重量は230gと軽量で、小さな子どもの首に負担をかけません。夜道で車やバイクのライトを跳ね返す「反射シール」付きです。
・商品名:オージーケーカブト「PINE」
オージーケーカブト「FR-KIDS」
日常で自転車やランニングバイクを使うときはもちろん、スノボやスキーなどのフリーライド系のスポーツにもおすすめな子ども用ヘルメットです。ハードシェルタイプで頑丈な作りとなっています。
適用頭囲は50~54cmとなっていて、ダイヤル式のアジャスターを使用し、頭の大きさに合わせて微調整が可能です。
子どもでも簡単に着脱できるように、考え抜かれた「ワンタッチバックル式」のあごひもが採用されています。
子どもの心をくすぐる派手なカラーと、目立つデザインも魅力です。子どもが小さいうちは、できるだけ視認性が高いデザインを選んだ方が存在のアピールになり、事故の危険性が減るでしょう。
・商品名:オージーケーカブト「FR-KIDS」
オリンパス「OMV-10」
軽量で丈夫なソフトシェルタイプのヘルメットです。小学生以上の子どもにおすすめな、52~56cmサイズとなっています。サイズ調整できるアジャスターダイヤルが付いているので、成長に合わせて調整が可能です。
重量は「約230g」と軽量で、毎日使用しても負担を感じにくくなっています。あごひもは着脱が簡単なワンタッチバックル付きです。
大きな通気口があるので熱がこもりにくく、暑がりな子どもでも使用しやすいでしょう。
・商品名:オリンパス「OMV-10」
子どもが喜んで着用してくれるデザイン
子どもがヘルメットに興味を持ってくれないときは、子どもの好きなデザインを取り入れたものを選ぶとスムーズに使ってもらいやすくなります。デザインに工夫がされた、おすすめの商品を見ていきましょう。
ジョイパレット「カブロヘルメットV アンパンマン」
「アンパンマン」の絵が散りばめられた、子ども用ヘルメットです。内装パッドを取り外してまるごと洗うことができ、衛生的に使えます。360度ぐるりと反射板が付いているので、夜道での安全を守ってくれるでしょう。
頭囲の目安は46~52cmとなっていて、対象年齢は1~5歳です。アジャスターダイヤルで、頭の大きさに合わせられます。
あごひもに絡みにくいワンタッチバックルを使用しており、慣れれば1人でも着用できるでしょう。
自転車に同乗させやすいように自転車用幼児座席に合わせた専用設計で、ぐらつきにくくなっています。国内の安全基準をクリアした、SGマーク付きです。
・商品名:ジョイパレット「カブロヘルメットV アンパンマン」
アイデス「キッズヘルメット 新幹線E5系はやぶさ」
新幹線が大好きな子どもにおすすめなヘルメットです。「新幹線E5系はやぶさ」をかたどった、電車好きにはたまらないデザインとなっています。適用頭囲は53~56cm未満となっており、年齢の目安は4~8歳です。
ダイヤルを回転させてサイズ調節でき、頭の形や成長に応じて調整できるようにオプションパッドも付属しています。
重量は約260gと軽量な作りで、子どもの首に負担を与えません。360度の反射板付きで、暗い場所でも視認性を高めています。デザイン面だけでなく安全面も配慮され、SGマーク付きです。
・商品名:アイデス「キッズヘルメット 新幹線E5系はやぶさ」
バーン「NINO 2.0」
子どもの心をくすぐるポップな配色とデザインが魅力的な、子ども用ヘルメットです。メーカーが独自開発したテクノロジーを採用し、ヘルメットを薄く軽量化しつつ継ぎ目をなくした頑丈な設計です。
インナーには「ゴム素材」が使用され、伸縮してフィットするように作られています。日差しを遮ってくれるバイザー付きで、スムーズに跳ね上げ下げができるデザインです。不要なときは取り外して洗濯できます。
SとMの2サイズ展開です。推奨頭回りはSサイズが52~55.5cm、Mサイズが55.5~59cmとなっており、米国の安全基準である「CPSCマーク」を取得しています。
・商品名:バーン「NINO 2.0」
まとめ
子ども用ヘルメットの着用は努力義務となっていますが、自転車の事故で死亡に至るけがの部位大半が頭部によるものなので、子どもの命を守るために着用させましょう。
基本的には、サイズや安全性などにこだわって選びます。事故の際に脱げないようにするには、子どもの頭のサイズに適したヘルメットを選ぶことが大事です。
アジャスターが付いているものは、成長に応じて微妙なサイズを調整できます。子どもが気に入るデザインを選んで、積極的に使用してもらいましょう。