●アルツハイマーの5分の1…40代から発症する
「“前頭側頭型認知症”は、40代から発症してしまう認知症で、アルツハイマーの5分の1位の割合で存在すると言われています。アルツハイマーとは萎縮する場所が違い、“前頭側頭型”は、その名の通り、前頭葉や側頭葉の前方が萎縮し始めます。それによって、まず“脱抑制”が表れて衝動的になり、女性は万引きをしてしまったり、男性は反社会的行動に出ることが多くなります。ちょっとしたことでカッとしやすくなるため、運転が荒くなったり、職場でトラブルを起こしやすくなる。まだ若いために認知症と疑われることもなく、その症状は更年期やうつ病と似ているとも言えるため、周囲もなかなか気づきにくいことが考えられます」(福井氏 以下同)
それでは“前頭側頭型認知症”の兆候にはどんなものがあるのか?
【前頭側頭型認知症の兆候】
1. だらしなくなる(お風呂を嫌がるようになり、ファッションにも気を配らなくなる)
2. 同じ音楽を聴いたり、同じテレビを繰り返し見たりする
3. ずっと窓を拭くなど、同じことを永遠繰り返す
4. カッとしやすくなる
5. 食べ物の好みが偏る(甘い物ばかり食べる、ポテトチップも何袋も買って食べる)
「人格変化も起きるので、身近にいる家族は一番気づきやすいと思います。MRIの画像ですぐに診断ができるので、“少し変だな?”と思ったら、まずは疑うべきでしょう。ただ、予防法は一切なく、万引きのほか、露出や痴漢、暴行など、兆候の出方も人によって様々。いち早く症状に気づく以外、初発での犯罪は防ぎようがないという点も厄介です」
家族であれば、夫や妻の微妙な変化もわかるはず。疑わしいと思ったら、まずは病院へ…。40歳を過ぎたら、自分の脳の状態を一度知っておくことは、決して無駄にはならない!
(取材・文/蓮池由美子)