共働き離婚で財産分与をしない方法とは?弁護士が解説

共働き離婚で財産分与をしない方法とは?弁護士が解説

3、共働き夫婦の離婚における財産分与Q&A

(1)「財布が別」の夫婦における財産分与はどうなるのか

家賃や水道光熱費、生活に使う費用を折半しており、その他は自由に自己が稼いだお金を使うという夫婦はかなり多いと思います。

このような場合であっても、基本的には分与割合は2分の1です。「財布は別」であったとしても、夫婦一方が得ることができる収入に対しては他方の貢献があると考えられているからです。

婚姻期間中に夫が収入を得られていたのは妻が家事や育児等の家事労働を行ってくれたからである、逆もまた然りであると考えられていることが根拠となっています。

(2)夫婦の給与額の比率は財産分与に影響しないのか

夫が月額60万円、妻が月額30万円の稼ぎで家事・育児は平等に行っていたというケースにおいて財産分与割合は給与に応じて2:1にはならないのかと疑問に思う方もいると思います。

しかし、このような場合であっても財産分与の割合は50%ずつです。妻の貢献があるから夫は現在の稼ぎを維持できていると考えられるからです。

他方、夫婦が同等に収入を得ていて、家事・育児を妻が一手に引き受けていたという場合はどうでしょうか。この場合には妻の方が財産形成への貢献度は多いと判断され2分の1ルールが修正される可能性はあります。

(3)仕事にかまけて家事を放棄していた妻(夫)に財産分与請求権はあるのか

共働き夫婦では、どちらかが全く家事や育児をしなかった、というケースも多いでしょう。特に夫が家事・育児を担い、妻が多忙であるケースにおいて夫側に起こりうる不満です。

このように、妻の給与が夫より高いまたは同等である場合においても基本的には財産分与は折半です。なぜなら、前述のとおり一方の収入が高かったとしても、もう一方の配偶者が家事や育児を担当することで収入が得られるように寄与していたと考えられているからです。

(4)一方が浪費家であった場合、財産分与はどうなるのか

夫婦の一方が浪費家であった場合は2分の1ルールが修正される可能性があります。つまり夫婦の一方に著し浪費があって、その浪費によって夫婦共有財産が減少したと言える場合には分与割合が修正される可能性があります。

例えば、夫婦の一方が最低限度の生活費を家庭に入れていたがそれ以外のお金はすべて浪費していたとされる一方で、他方は一般的または倹約家で貯蓄していたような場合には、後者には多めの財産が分与されるように調整されるべきでしょう。

(5)共働き離婚における退職金の財産分与はどうなるのか

少なくとも、夫婦双方の退職金についても近い将来に確実に支払われる見込みがあるといえる場合には財産分与の対象となります。なお、退職の時期が相当先であるという場合はケースバイケースですので弁護士にご相談になるのが良いでしょう。

夫婦の協議においては離婚時に退職金を仮計算して分与額を計算して財産分与したり、実際に退職金が支給されたときに分与額を相手方に支払い約束を離婚時にしておいたりすることがあります。

4、財産分与における不平等感を感じたら弁護士へ相談を

財産分与は離婚後の生活の経済基盤となる財産です。

対象となる財産が複数ある場合には分与手続は複雑になることも考えられます。

基本的には分与割合は2分の1ですが、具体的には不動産は妻に、自動車は夫にという風に分ける方が夫婦にとってはメリットが大きいというケースもあり得ます。

この2分の1ルールについても絶対のルールではなく、事案に応じて修正される可能性もあり、話合いで変更することは認められています。

財産分与における不公平感を感じる場合には一度弁護士に相談するようにしてください。

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