
●ママ友の悪口も度が過ぎれば立派な罪!
ママ友トラブルが裁判に発展したケースは、いくつかあるようですが、今回は仙台地裁で起きた事件を紹介します。登場人物は、被害者のAさんと3人の加害者B・C・D、合わせて4人。
Aさんは、近所に住むママ友のB・C・Dの3人から、ママ友いじめを受けていました。悪口を言いふらされたり、職場に電話をかけられたりしていたAさん。ママ友いじめのおもな内容は以下の通り。
□Aさんが受けていたママ友いじめ
・「Aさんが帰った後、家から衣類がなくなった」「警察に盗みの瞬間を写真に撮られ、嫌疑をかけられている」「手癖が悪い」などの、嘘の噂を言いふらす
・「警察に目をつけられているから注意したほうがいい」と職場に電話
・Aさん宛に嫌がらせの手紙
これらのママ友いじめに悩み、Aさんは会社を辞め、持ち家を処分。一家で引っ越してしまいました。その後、加害者ママ友B・C・Dの3人を相手取り、慰謝料の支払いを求める裁判を起こしたというのがこの事件のあらすじです。
●ママ友いじめ 仙台地裁の判決は?
気になるのは、仙台地裁の判決。いったいどのような判決が下ったのでしょうか?
裁判所は、加害者のママ友3人に対し、「名誉棄損」に該当すると判断。B・C・Dそれぞれ、Aさんに20万円ずつ、慰謝料として支払うように命じました。
実際に、3人がAさんの陰口を言っているのを聞いたという人が証言し、B・C・Dも起訴内容を、おおむね認めたそうです。「町内の単なるお茶のみ話の域を超えている」と表現し、「ママ友たちの陰口=違法」であると法的に認めた、貴重な判例かもしれませんね。
陰口や悪口は、ママ友付き合いに限らず、職場や学校でもよくあること。しかし、それも度が過ぎると、違法であると判断されてしまうのです。被害者にとっては、内容や程度にかかわらず、「陰口」「悪口」というだけで、傷つくもの。同じく子どもを育てる「同志」として、良好なママ友付き合いを築いていけたらいいですね。
(文・明日陽樹/考務店)