「縁を切りたいと思う原因は、どちらかが嫌がらせなどでメンタルをやられてしまい、もうかかわりたくないと思うことがひとつ。また、薬物やアルコール、ギャンブルなどの依存症や借金があり、その影響が自分や家族にふりかかることを恐れることもあります」と言うのは、母娘関係改善カウンセラーの横山真香さん。
法律的には血縁関係の「縁」を切ることはできないが、「今後かかわらない」という絶縁宣言をすることで、縁を切るケースはあるそうだ。
「絶縁宣言は、どちらかが一方的に手紙やメールなど、形が残るもので行うことが多いです。親がどちらも亡くなって、3周忌を終えたときなどのタイミングを選ぶ人もいます。本人同士だけでなく、配偶者同士や子ども同士(いとこ)も会わなくなるなど、絶縁は一家の問題です」
●不仲なきょうだいの絶縁、その代償は
互いに嫌な思いをしても、わざわざ絶縁するメリットとは?
「メリットは、心をかき乱されることがなくなることです。不仲の場合、会うたびに心がささくれ立ち、同時に、きょうだい、特に同性の場合には姉や妹の幸せを喜べない自分にも自己嫌悪を感じていることも多く、そこから解放されるという意味はあります」
例えば、自分が多忙で夏休みもとれないとき、年齢も近く同性である姉妹が一家で毎年海外旅行に行くなんて話を常に聞いていると、対抗心や嫉妬心、劣等感を覚えてしまうこともあるだろう。それが友人同士であれば、距離をとることもできるが、血縁関係ではできない。
とはいえ、絶縁してしまったら、失うものも大きいはず。
「何かあったときに本当に親身になってくれる相手は、きょうだいくらいです。親が亡くなった後で思い出話が唯一できる相手でもあります。絶縁は、そうした絆をすべて捨てることになるのです」
寂しいことだが、絶縁宣言してしまった場合、されてしまった場合には、どうすべきか。
「絶縁宣言しても、されても、一時的に感情的になってしまっただけかもしれません。絶縁された側は、相手が心の余裕をなくしていると考え、うけとめてあげること。そして、『少し落ち着いたら、また連絡して』などとメッセージを伝え、窓を開いて待ってあげましょう」
時間が経てば、互いの状況も気持ちも変わることはあるもの。絶縁したらすべて終わりではないのだから、いったん距離を置いて、冷静になるのもひとつかも。
(田幸和歌子+ノオト)