歌舞伎俳優の中村梅乃さん、市川蔦之助さんに聞く!“私の推し活”【推しに推しを聞いてみた】

歌舞伎俳優の中村梅乃さん、市川蔦之助さんに聞く!“私の推し活”【推しに推しを聞いてみた】

アイドルやアニメ、スポーツ…いまやジャンルを超えて広がっている“推し活”。大好きなモノやコトがあるから毎日頑張れるし、みんなにもすすめたい! そんな推し活を楽しんでいる人も多いのでは? 今回は歌舞伎俳優の中村梅乃さん、市川蔦之助さんが“推し”について熱く語ります!

一つひとつの活動を通じて、歌舞伎の魅力を伝えていきたい

『道行初音旅』左から佐藤忠信実は源九郎狐=市川蔦之助、静御前=中村梅乃/撮影:岡崎慶嗣

現在、歌舞伎俳優として“推される”立場でもある2人は、SNSを通じてさまざまな情報を発信中。
「ほかの演劇と比べると歌舞伎はまだまだファンの方も多くないと思うんですね。ファン層を広げる上で宣伝活動は大切だなと思います」と蔦之助さん。
梅乃さんも「おこがましいようですが、歌舞伎の広報大使になったつもりで発信しています。SNSが歌舞伎の世界に触れる“窓口”になれば」と言葉を添える。

(左)『忍夜恋曲者 将門』傾城如月実は将門娘滝夜叉姫=中村梅乃/撮影:岡崎慶嗣
(右)『博奕十王』博奕打=市川蔦之助/撮影: 網中健太

歌舞伎の舞台に加えて自主公演や勉強会を開催している歌舞伎俳優も多く、蔦之助さんは2019年に自主公演「第二回 蔦之会」を開催。梅乃さんも2022年夏に中村梅玉門下でともに学ぶ4人で、勉強会「第二回 高砂会」を開催した。

「高砂会は、弟子それぞれの日頃の修業の成果をご覧いただく場所ですが、ご覧くださる方に少しでも楽しんでいただき、やがては一門を“推し”てもらえるようになれば嬉しいです」と梅乃さん。

「自主公演は普段の歌舞伎の舞台と違って、劇場をおさえたり、衣裳や鬘(かつら)、小道具などを発注するところから自分たちでやらなくてはならず、改めて普段の公演のありがたみがわかります。一方で、自主公演には普段の公演ではできない挑戦ができるという良さもある。『市川蔦之助』という役者の新しい一面を知っていただくきっかけにもなりますし、またやりたいですね」と蔦之助さん。

次代を担う、歌舞伎俳優やスタッフの育成にも力を注ぐ

歌舞伎俳優として経験を重ねるにつれて活動の幅が広がり、近年では「こども歌舞伎スクール寺子屋」の講師として、小学校高学年~中学生に歌舞伎の演技の基本などを教えているのだとか。

梅乃さんは子どもたちに対しても、歌舞伎の世界をつなぐ“窓口”になりたいという。
「大切なのは、うまい、下手よりも、大きな声で元気よく、堂々とやること。私自身、歌舞伎が好きでこの世界に入ったように、スクールをきっかけに歌舞伎を好きになってもらって、俳優や演奏家、スタッフ、どんな形でもいいから、仕事として歌舞伎に携わりたい、支えたいと思ってもらえたら嬉しいです」

また、このスクールの最大の特徴は、女の子も歌舞伎を学ぶ環境があること。
「女の子たちだけで演じる“新作”を教えることがあるのですが、新しい演目を作りながら教えていくという作業は、自分にとっても勉強になります」と蔦之助さん。

現在、「こども歌舞伎スクール寺子屋」では第八期生までがさまざまなお稽古に取り組んでいるという。もしかしたらこのなかから、未来の歌舞伎俳優が大勢誕生するかも。

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