子どもの肥満が及ぼす健康リスクを確認
子どもの肥満は、健康な生活を阻害する可能性があるため注意が必要です。まずは、子どもの肥満で起こりうる健康面のリスクを紹介します。
糖尿病・高血圧などの生活習慣病リスクが高まる
「小児肥満」と呼ばれる子どもの肥満は、体内に脂肪が過剰に蓄積した状態です。
小児肥満が悪化すると、小児期であってもメタボリックシンドロームになる可能性があり、糖尿病・高血圧などの生活習慣病にかかるリスクが高まると考えられています。
ただ、子どもの場合には体重だけで肥満だと判断せず、身長の伸び方を併せて確認することが大切です。とくに成長期の子どもは、体重が増えた後に身長が伸びる場合もあります。
保育園・小学校などの身体計測で肥満を指摘されたなら、専門医に相談して対応を考えるのがよいでしょう。
子どものダイエットを成功させるには?
肥満を指摘される子どもは食べるのが好きな傾向にあるため、ダイエットが長続きしにくいのも事実です。子どものダイエットを成功させるために押さえておきたいポイントは、大きく2つあります。
早寝早起きの規則正しい生活を心がける
子どもの肥満は、食事などで摂取したエネルギーが消費エネルギーを上回って起こる「単純性肥満」が大半です。消費されなかったエネルギーが脂肪として体内に蓄積され続け、肥満になると考えられています。
ダイエットを成功させるためには、朝・昼・夜の食事で摂取するカロリーの見直しが大切です。
また、通学や外遊びなどでエネルギーを消費しやすい朝・昼に比べて、夜は動きが少ない傾向にあります。朝は7〜8時・昼は12〜13時・夜は19〜20時の範囲で食事の時間を決め、寝る2時間ほど前までには夕食を終わらせるようにしましょう。
参考:できることから始めましょう~早寝早起き朝ごはん~|健康トピックス|新着情報|新潟ウェルネス
親もダイエットに参加する
子どもの肥満は、家族全員の生活習慣を見直すチャンスとも考えられます。子どもの肥満には、少なからず親の生活習慣が関係しているからです。
例えば、親がハンバーガー・ポテトなどのファストフードをよく食べているなら、子どもがファストフードを好きになるのは自然なことでしょう。
また、親が夜遅くまで起きてゲーム・動画鑑賞などをしている家庭では、子どもの寝る時間が遅くなるのも無理はありません。肥満を子どもだけの問題にせず、家族で生活の改善に向けて取り組みましょう。
ダイエット中の食事づくりに役立つ工夫
ダイエットをしている子どもの生活で神経を使うのは、食事づくりではないでしょうか?野菜を多く食べさせようとしたりかさ増しをしたりすると、嫌がられることも多いでしょう。
子どもに気づかれにくく、ダイエットに効果的な食事の工夫を2つ紹介します。
野菜は汁物に入れて食べやすく
野菜は健康に重要な栄養素を多く含んでいます。
例えば、食物繊維には、糖質・コレステロールの吸収を抑えて肥満を予防する効果があり、カリウムの持つ塩分排出力は、高血圧になるのを防ぎます。そのため、子どもにも野菜を積極的に食べてもらう工夫をしましょう。
野菜が嫌いな子どもには、汁物に入れて食べさせるのがおすすめです。サラダのような生野菜が苦手でも、みそ汁・スープに入ってやわらかくなっていれば食べられる場合があります。
汁物なら豚汁・ミネストローネなど、子どもの好み・季節に合わせてアレンジしやすい上に、多くの野菜の栄養をまとめて摂取できるのがうれしいポイントです。
それでも野菜を嫌がる場合には、汁だけでも飲むように促して栄養をとらせる方法もあります。
参考:【野菜】 毎日の食事にプラス70gで、ヘルシーライフ | 健康サポート | 全国健康保険協会
かさ増しには「おからパウダー」がおすすめ
食欲が旺盛な子どもにとって、いきなり食事の量を減らされるのは苦痛なことです。食事で満腹感が得られないと、食後のデザート・間食が増えてしまう恐れがあります。
食事をヘルシーにしつつ、子どもの食欲を満たしたいときは、おからパウダーを使って食べ物のボリュームを増やすのがおすすめです。
おからは豆腐・豆乳をつくるときに生じる出がらしのようなもので、植物性たんぱく質・食物繊維を含んでいます。
パウダーならおからの風味が分かりにくく、ハンバーグのようなひき肉料理はもちろん、ヨーグルト・卵料理などにも混ぜられるのが魅力です。
ただ、ヘルシーなおからパウダーであっても、過剰な摂取は禁物です。パッケージに記載されている量を守った上で、子どもの様子を見ながら少しずつ取り入れましょう。
参考:豆類/だいず/[その他]/おから/乾燥 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類
楽しくダイエットできる運動アイデア
生活のなかで気軽に取り組める運動も、子どものダイエットに役立ちます。運動が嫌いな子どもでもチャレンジしやすいものには、何があるのでしょうか?おすすめのアイデアを3つ紹介します。
朝の目覚めにも効果的な「ラジオ体操」
有酸素運動とストレッチの要素を兼ね備えたラジオ体操は、運動が嫌いな子どものダイエットにもおすすめです。
道具を準備したり、走ったりする必要もないので、朝の通園・通学前にも取り入れやすいでしょう。リズムに合わせて腕を回したり、屈伸をしたりと、ほどよく体を動かせるため朝の目覚めにも効果的です。
朝にラジオ体操を行うことで自律神経が整い、代謝がアップするとも考えられています。家のなかでインターネットの動画を活用し、家族でラジオ体操を日課にするのもひとつの方法です。
浮力で体を動かしやすい「水泳」
ほかのスポーツに比べて体を動かしやすい水泳は、肥満傾向にある子どものダイエットにぴったりです。水のなかでは浮力が働くため、手足にそれほど力を入れなくてもスムーズに体を動かせます。
泳ぐのが苦手なら、水中でウォーキングするのもひとつの方法です。水のなかで歩くには足をしっかりと持ち上げる必要があるため、足のトレーニングになります。
バランスをとるために力を入れて踏ん張る場面もあり、太もも・おなかの筋肉も鍛えられるでしょう。
風呂・床の掃除などの「お手伝い」
ボール遊びや水泳などのスポーツを嫌がる子どもには、家のなかでお手伝いをさせる方法もあります。
風呂掃除や床の雑巾がけなど、体力を使うお手伝いは、運動不足を解消するのにぴったりです。浴槽・床の汚れを落とすためには、腕に力を入れたり、両足で踏ん張ったりする必要があります。
もちろん、テーブルを拭いたり食事を運んだりするお手伝いでも、十分に子どもが体を動かすきっかけになるはずです。子どもの運動不足を解消するために、継続して取り組めそうなお手伝いを考えましょう。
子どものダイエットに関する注意点
親として、肥満傾向のある子どもに何とかして痩せてほしいという思いもあるでしょう。しかし、子どもの健康を考えて始めたダイエットが、心・体の成長を阻むケースもあります。とくに食事制限は、子どものダイエットで注意したいポイントです。
過度な食事制限がもたらす悪影響
極端に食べる量を減らしたり決まった食材しか食べなかったりするような過激なダイエットは、栄養不良を招いて子どもの成長を阻む恐れがあります。
また、カロリーを気にするあまり、子どものおやつを禁止してしまうのは逆効果です。過度な制限が子どものストレスになり、親に隠れて買い食いをしたり、祖父母をはじめほかの大人にねだったりする問題につながる可能性もあります。
間食のカロリーが気になるなら、完全になくすのではなく与えるものの種類を工夫してみましょう。チョコレート・クッキーなど高カロリーのお菓子は控え、果物・せんべいのような比較的カロリーが低い食べ物をおやつに選ぶといった対策がおすすめです。
まとめ
子どもの肥満には、少なからず親の生活習慣が関係すると考えられます。子どものダイエットを成功させるためには、早寝早起き・適度な運動などを取り入れた規則正しい生活を、家族で意識することが大切です。
野菜を汁物に入れたり、おからパウダーを適度に使ってかさ増しをしたりすると、ボリューム感を失わないまま栄養の偏りを防げます。運動が嫌いな子どもなら、ラジオ体操・お手伝いなどを生活に組み込むのもひとつの手です。
子どもの負担にならない程度に食事・運動などの生活を見直し、家族で楽しくダイエットに取り組みましょう。