管理栄養士のともゆみです。スーパーの果物コーナーに「シナノゴールド」や「ふじ」などいろんな品種のりんごが出回る季節になりました♪ ちなみにみなさんは、りんごを購入するとき、どこをチェックして選んでいますか? なるべく甘いりんごを買いたい、できれば蜜入りだったりするとうれしくなりますよね。今回はその見分け方を紹介します。実際に特徴の違う2つのりんごを比較して、蜜入りりんごを引き当ててみましょう。
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蜜入りりんごは「お尻」を見る!
「お尻」とはりんごの「へた」(枝が付いている方)と反対側の部分を指します。
蜜入りしているりんごは「お尻が丸みを帯びていて赤から淡いオレンジ色」になっていると言われています。その一方で「お尻がとんがり傾向にある緑色のりんご」は未熟傾向にあると一般的には判断しています。未熟傾向のりんごは糖度も低く、完熟していないので、蜜入りの可能性は低いということになります。
りんごは、へた側は太陽に当たって赤くなりますが、日が当たらないお尻の部分は最初は緑色をしています。熟してくると、お尻の部分も赤く変わっていきます。へた側が赤くても熟しているかどうかわかりません。お尻の形と色が重要なのです。
実際2つのりんごを比較してみた
今回は蜜の入る品種のりんご「ふじ」で比較してみます。
おしりの形は画像ではわかりにくかったので、りんごの長さで比べてみました。
左が丸くて、右が若干細長いのが分かると思います。
そしてこのりんご、ひっくり返すと、お尻の色が全然違います。
左の丸いりんごのお尻は赤いです。右の細長いりんごは黄色~緑色をしています。
切ってみます。
左の丸くて赤いりんごに若干ですが「蜜」が見えます。
右の方の長くて緑色のりんごは「蜜」は全くありません。
実はりんごの「蜜」は糖度が低い!お尻の果肉が最も甘い!
りんごの蜜の部分を「蜜」と呼ぶので甘いと思われがちですが、実は「蜜」の正体は糖アルコールのソルビトールで、果肉よりも糖度は低いのです。甘くはありませんが、十分に熟したサインになります。また、りんごは糖度が均一ではなく、お尻の方が甘いとされています。実がなる前に花が咲いていたお尻の方に糖分を送っていたので、その名残りなのだそうです。また、芯の回りより皮に近い方が糖度が高くなります。
食べ比べしてみた!
熟したりんごのサインである”お尻の形と色”以外に、へた側よりもお尻側の方が甘いとのことなので…。「お尻が丸く赤いりんご」と「細長く緑のりんご」の、それぞれのへた側とお尻側を切り出して、都合4つの部位で食べ比べをしてみます。
右上…お尻が細くて緑、へた側
右下…お尻が細くて緑、お尻側
左上…お尻が丸くて赤い、へた側
左下…お尻が丸くて赤い、お尻側
まず、右上の「お尻が細くて緑、へた側」です。
酸味が強く甘さはあまりありません。
次に右下の「お尻が細くて緑、お尻側」です。
酸味はありますが、甘さが加わりました。右上のものとは明らかに違います。お尻側の方が確実に甘いです。はっきり違いがあったのでちょっとびっくり。
お次は左上の「お尻が丸くて赤い、へた側」です。
あぁ、甘いりんごですね。酸味もあまり感じないです。
最後に「お尻が丸くて赤い、お尻側」です。
おぉ、甘い、さっきよりもう一段甘いです。
見事、予想通りの結果になりました。
お尻が丸くて赤いりんごは甘いということも、お尻の方が甘いということも、本当でした。
切り口が茶色くなるのはなぜ?
りんごに含まれるポリフェノールが空気に触れると、ポリフェノールオキシダーゼという酵素が働いて酸化します。その結果、茶色に変色してしまうのです。切ったらすぐに塩水に浸けたり、レモン汁をかけると、酵素が働かないので変色を防ぐことができます。ただし、長時間漬けておくと、ほかの成分が流れ出てしまうので、数分にとどめておきましょう。
りんごの保存方法
りんごを丸ごと1個保存する場合は、「低温保存」と「乾燥を防ぐ」ことがポイントです。
冬場であれば常温で大丈夫ですが、暖房が効いていて暖かい場合には冷蔵庫の野菜室に入れることをおすすめします。そして、新聞紙やキッチンペーパーにくるんでポリ袋に入れておくと乾燥を防げます。常温の場合も同じように新聞紙やキッチンペーパーにくるんでおくといいでしょう。
カットして残ったものは、塩水などに浸けて変色を防いだ後、ラップできっちりとくるみ、ポリ袋に入れます。冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに食べるようにしてください。
りんごの栄養は?
「1日1個のりんごは医者を遠ざける」と言われるほど栄養成分が豊富です。特に体内の余分なナトリウムを排出するカリウムや、水溶性食物繊維も多く含まれています。高血圧やむくみ、便秘解消やコレステロールの上昇を抑える働きがあります。また、りんごに含まれるポリフェノールは強い抗酸化作用があり、抗アレルギー、抗ガン、脂肪吸収抑制などさまざまな作用が認められています。
お店ではへたの方が上を向いているので、どれも赤いりんごに見えますが、裏を見ると緑色をしているりんごもたくさんあります。これからりんごの旬を迎えるので、紹介した見分け方を参考にしてみてくださいね。
<参考文献>
『からだのための食材大全』 NHK出版
配信: あたらしい日日
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