実録・子どものエアガン問題 まさかの110番通報に!

第1回 子どものエアガン問題
今では、お祭りのくじ引きや100円ショップで、子どもたちが気軽に手に入れることができるようになったエアガン。早い子なら、小3くらいから興味を持ち始め、男の子の親としては「与えるべきか与えないべきか…」ゲーム同様悩ましい問題のひとつでもある。そこでここでは、巷で実際に起きている“子どものエアガン”問題をフィーチャー。実録として紹介する。

●日々のストレス解消をエアガンで…

「最初にエアガンで遊び始めたのは、小5くらいだったと思います。近所のお祭りの出店で、たまたまくじで当たって息子は大喜び。正直、親からすると“えーっ”って感じでしたね。手に入れれば、BB弾を入れて撃ち合いしたくなるに決まってますから…」

そう語るのは、現在高校1年生になった息子を持つYさん。子どもが興味があるものにはなるべく理解を示す…そんな優しいママさんだ。

「私自身も姉妹しかいませんでしたし、男の子の育て方が本当にわからなくて。“男の子だから銃に興味を持つのは当たり前なのかな?”という考えでした。息子が小学生の時、クラスの中にも、何人かおもちゃのエアガンを持っている子がいたようで、学校でBB弾は禁止されていましたが、100円ショップでも普通に手に入るし、息子たちは、親に内緒で公園で撃ち合いをしていたようです」

その遊びが、やがてとんでもない展開に…。

「どうやらみんなで、1人の子を目がけてBB弾を打ったりしていたようなんですね。被害者の子が親に訴えて、加害者側の私たちは学校に呼ばれ、息子たちも校長室に呼ばれて謝ることになりました。もちろん自宅でも、主人に厳しく叱ってもらいましたよ。あの事件で、もう懲りたはずと安心していたんですけど…」

時を経て、Yさんの息子は中学生に。反抗期も重なって、Yさんとぶつかることも多々あり、親子で苦悩する日々が続いた。

「何を聞いても“うるさい!”“だまれ!”“クズ!”としか言わないので、私も何となく息子を避けるように…。中学に入って勉強も急に難しくなったようで、成績もみるみる下がっていきました。思春期で体も成長するし、勉強もついていけない、友だち関係もあまりうまくいっていないようで、助けてあげたくてもどう助けていいのかわからない。完全にお手上げで、私は息子のことがわからなくなっていました」

そんななか、事件は勃発してしまった。

子どものエアガンは危険?

「うちの近所は、広い田んぼに囲まれているんですね。夜はカエルの鳴き声が聞こえるくらい静かなんですけど、急にパトカーのサイレンが聞こえてきて、うちの玄関の前で止まったんです。お巡りさんがやってきて、“息子さんはいますか?”と…。何かしでかしたのかと、怖くて体中が震えたのをよく覚えています。どうやら、息子が田んぼでエアガンを撃っていたという通報が入ったようで、お巡りさんは息子に事情聴取をし、親子で厳重注意されました。私は、息子が10禁のライフルを持っていたことも知らなくて…。どうやら、お年玉で内緒で買ったようで、田んぼで撃っては、日々のストレスを解消していたようなんです」

言うまでもなく、Yさんはこの銃を取り上げ、息子さんも、これにはよほど懲りたのか、それ以来、プレステなどのシューティングゲームでストレスを解消するようになったという。

「本当に人に当たらなくて良かったと思いますね。考えるだけでゾッとします。この事件を機に、私も気難しい息子を避けるのではなく、真正面からぶつかっていくようになりました。相変わらず口は悪いですが、受験も無事に終わって、今は少しずつですが、優しい息子に戻ってきたような…そんな気がしています」

1歩間違えれば、大変な事態も招きかねない“子どものエアガン問題”。しっかりとした物事の分別がつくようになるまでは、親が“子の遊び”を把握しておくことが必要なのかもしれない。

(撮影/溝口里奈 取材・文/吉富慶子)