休養学の専門家が選ぶ!最もリラックスできる音楽3選

いつも健やかでいるために、心身ともにリフレッシュし、自分らしいパフォーマンスを取り戻す活動=「リフ活」。今回は、誰でも簡単に日常生活に取り入れられるリフ活として、音楽の効果に注目しました。
心身への癒しの効果があるといわれる音楽で、リフ活をするにはどうしたらよいのでしょうか?
日本女子大学の根津 知佳子先生に聞きました。

音楽でリラックス!音と身体の関係

音や音楽が心身の癒しにつながるとはよく言われますが、それはどういった理由からなのでしょうか?

「音の振動は、人の身体に興奮や鎮静を引き起こします。音楽を聴いてわくわくしたり、心が静かに落ち着いたりするのは、音が心身にフィジカルな影響をおよぼすものだから」と話す根津先生。

具体的に音や音楽は、心身にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?

「よく言われるのが、音が及ぼす自律神経への影響。音や音楽の一部には、交感神経や副交感神経のバランスを保つ作用があります。また、音楽は人の無意識に働きかける性質もあり、音楽を聴くことによって思いもかけない『自分自身』と出会うことができます。音楽によって、そのときどきの気分を切り替えるという方法もあるのです」。

気分が上がる!アナ雪の「Let It Go」のヒミツ

根津先生によると、気持ちを切り替える音楽には、一定の条件があるそう。

「それぞれの人の、その時々の気持ちや身体の調子によって求められる音楽は異なります。気分が落ち込んでいる時には、今の沈んだ気持ちに寄り添う音調のものからはじめるとよいでしょう。徐々にこうありたいという自分のイメージや、切り替えたい気持ちと合った旋律に変化していく楽曲がおすすめ。
『同質の原理』と言いますが、暗い気持ちのときに、真逆の明るい曲をかけるのは逆効果なんです。ディズニーアニメのアナと雪の女王で有名になった『Let It Go』は、静かで暗い印象の前奏と歌詞からはじまり、徐々にメロディーやテンポに快活さを伴っていくわかりやすい曲です。なりたい自分に向かって気持ちを切り替えていくのにうってつけですよ」。

リラックス効果のある音楽とは?「モーツァルト効果」と「1/fゆらぎ」について

また、心身への影響という意味では、モーツァルトの楽曲や、自然の音などに代表される1/fゆらぎの効果にも注目だそう。

「モーツァルトの楽曲の多くは、シンプルな旋律や和音進行が繰り返され、おだやかにすすんでいきます。現代音楽のように、どのようなメロディーになるか予想しにくかったり、インパクトのある音が散りばめられた曲とは異なります。また、個人の持つ心地よいテンポ(パーソナルテンポ)から外れにくいのも特徴。だからといって、メトロノームのようにきっちりと正確ではなく、穏やかな変則性がある。そういった音楽が自律神経のバランスを整えるのだと考えられています」と根津先生。

よく聞く「1/fゆらぎ」とは?

1/fゆらぎとは、自然界にある音や動きのゆらぎを指します。寄せては返す波の音や川のせせらぎなど、規則的な中にも不規則が混在しているのが特徴で、人の心拍やお経などが代表例です。安定的なテンポで、安心できる音や音楽が当てはまります。

「モーツァルトの楽曲や1/fゆらぎの音を聞くことは、疲労を癒す効果的なリラックス方法という意見が多い一方で、モーツアルトの音楽も専門的な音楽教育を受けた方には、当てはまらないこともあります。また、西洋音楽における12平均律※1
とは異なる音楽文化の中で育った方々にとっては、むしろ聴きなれない音楽になってしまうので、やはり当てはまらない場合もあります」と根津先生。

※1 1オクターブの音程を12等分した音律のこと。西洋音楽の多くは12平均律で構成されている。

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