「“育ちがいい・悪い”という言葉は、とても誤解されやすいのですが、経済的に裕福な家庭で育ったかどうかということではありません。昔から“氏より育ち”という言葉もあるように、家柄や身分よりも、育った環境やしつけのほうが人間の形成に強い影響を与えるのです」
そう話すのは、子育て本作家の立石美津子さん。では、わが子が“育ちが悪いね”と言われないために、“これだけはしつけておきたいこと”とは?
1)基本的な挨拶がきちんとできる
挨拶というと、しつけの基本中の基本。しかし、これが意外と親自身ができていなかったりするという。
「挨拶は人間関係においてもっとも大事なコミュニケーションの基本ですね。もちろん、親御さんも皆さんわかっていると思いますが、子どもの土台となるのは家庭環境なのです。お子さんが小さいときから家族間できちんと挨拶できていますか? 朝起きたら“おはよう!” お父さんに“いってらっしゃい!”“お帰りなさい!”を言っていますか? 食事のときの“いただきます”“ごちそうさま”、何かしてもらったときに“ありがとう!”…。家庭内では言わないのに、外で“ほら、挨拶は?”“ありがとうは?”と強制しても、普段から習慣化されていないと子どもはなかなかできないので、気をつけましょう!」(立石さん 以下同)
2)言葉遣い
言葉遣いの悪い子を見ると嫌な気持ちになるもの。そして、もっとも“育ちが悪い”というイメージに直結しやすいのも言葉。
「幼児期から親御さんがきちんとした言葉を使って子育てしていれば、自然に子どもは身につけていくものです。しかし、親御さんが“マジ”“ヤバい”“デカイ”“スゲェ”“ムカツク”…などという言葉を家庭内で日々浴びせていたら、子どもは自然にそういった言葉を使うようになってしまいます。子どもがお友だちの影響で汚い言葉を使い出す時期もありますが、それはあくまでも一時的なもの。しっかり家庭で言葉遣いの土台を作っておくことが大事なのです」
3)時刻を守る
時間への感覚というのも、日々の習慣によって身につくもの。
「時刻や期日にルーズということは、相手の貴重な時間を奪っていることなので、とても不快にさせますし、迷惑をかけます。そして、社会に出ると信頼を失いかねない事態に発展することも。小さいころからルーズにしていると、なかなか大人になって直せないものです。しっかりと小さいころから“時を守る意識”を習慣化させましょう」
4)公共でのマナー
公共のマナーは、社会で生きていくために身につけるべき、とても重要なこと。
「大人でも、公共のマナーが身についていない人はたくさんいますが、これも小さいころからの長年培われてきた“育ち”が大きく影響します。勉強ができるとか、仕事ができるとか以前の、その人の人間性が問われますので、しっかりと身につけさせましょう!」
見た目はいくらでも変えられても、長年培われてきた“育ち”は、無意識にその人の言動に出てしまいます。子どもの“育ち”=親のしつけ方を指すということをしっかり意識して子育てすることが大事ですね。
(構成・文/横田裕美子)