「子どもをしつけるうえで、とても大事なことは、お子さんを“子どもだから“と扱うのではなく、生まれたときから“一人の人間”として扱うことなんです」
そう話すのは、子育て本作家の立石美津子さん。では、しつけるうえで、親がやってはいけないNG言動とは?
1)大きくなってからしつけをはじめている
まだ小さいのにしつけなんて…は、NGだそう。
「悪い習慣は、大人になってから身につくのではなく、小さいうちから親がつけている習慣です。例えば、机に乗っている子どもに、親御さんが“下りなさい”と何度も言っているのに、言うことを聞かない子がいます。それは、0~2歳くらいの時期に乗っても“小さいからまあいいか…”と、ある期間注意もせず、途中からしつけをはじめたので、怒ったり、叩いたりしないと下りなくなってしまっているからです」(立石さん 以下同)
たとえ1~2歳であっても、いけないことはいけないと、しつけることが大事だそう。
「机の上に乗ったとき“机はご飯をのせるところだから、下りてね”と、少し怖い表情とゆっくり低い声で言えば、いつもと違う空気を察して下ります。品性というものは、大人になってからは身につかず、幼児期にしか養われないものなので気をつけましょう!」
2)「怒られるから!」 「危ないから!」 と言って、しつけている
よく、“危ないから下りなさい!”“怒られるからやめなさい!”と叱っている親御さんの光景を目にしますが…。
「例えば、子どもがテーブルに乗っているときに、“危ないから下りなさい!”と言っている親御さんがいますが、では、危なくない高さのテーブルだったら乗っていいのでしょうか? 電車のなかで騒いでいる子どもに“怒られるから静かにしなさい!”と、言っている親御さん。誰もほかにお客さんが乗っていなかったら車内で騒いでいいのでしょうか? 違いますね。お子さんに注意するときは、きちんと“テーブルは乗るところではない”“車内は騒ぐところではない”と、してはいけない理由をどんなに小さい子どもであっても説明しなければ身につきません」
3)叩く、「シーッ!」「ダメ!」「コラ!」と感情で叱る
しつける気持ちがいくらあっても、感情だけでは子どもに伝わらないのが現実だそう。
「大きくなって言うことを聞かない子というのは、小さいころから親に感情で叱られ、条件反射的に言うことを聞いてきた子です。悪いことをしたら叩かれる、“ダメ!”“コラッ!”“いい加減にしなさい!”、うるさいと“シーッ!”。しかし、これは叩いたり、怒鳴ったりして親はその場をおさめているだけで、子どもも痛いから、怒鳴られるから従っているだけなんです。これは、子どもが本質を理解しているわけではありません。だからこそ、たとえ1歳の子であっても、してはいけない理由をきちんとそのとき、そのときに言って理解させなければ身につかないのです」
4)真剣に叱っていない
叱るときの真剣さは、子どもにしっかり伝わっているという。
「よく、お子さんを言葉では叱っていながらも、普通の顔で注意している親御さんを見かけます。叱るのならば、真剣に叱らなければ伝わりませんし、子どもも本気でないことを見抜き、何度も同じことを繰り返すでしょう。本当に改めさせたいことならば、親の真剣さは重要です」
5)悪いことをしたときだけ叱っている
親御さんは、叱ることにばかり熱心で、できたときには意外と気づいてあげていないことが多いそう。
「子どもができないと“なんでできないの!”と、怒鳴る。子どもは叱られたあと、頑張ってやったのに、できたことはスルー。そういうことしてませんか? 褒めること、認めることをしなければ、また元に戻ってしまいます。叱ることと褒めることはセットです」
しつけは、小さいころからの積み重ねであり、その積み重ねこそが子どもの将来に大きく影響します。今日から、ぜひ実践してみてください!
(構成・文/横田裕美子)