●夫の急死に備え、夫が大事にしていることを聞いておく
死の準備をするにあたっては、自分の意思もさることながら家族や親族、友人への配慮なども必要。しかし、壮年期にあたる30代40代では、あまり細かいところまで詰めておかなくてもいいといいます。
「高齢期の終活では、お葬式やお墓、財産分与について細かく決めておくことが望ましいですが、壮年期であればそうしたことは決めておかなくてもいいと思います。それよりも大事なのは、夫の人間関係や大事にしていることを把握するということ。たとえば、一番大事にしている親友が誰かとか、大事にしている物などを知っておくことで、亡くなった後にその親友に『主人があなたのことをこんな風に話していました』と伝えたり、大事にしていた物を慈しんだりすることで、悲しみが癒やされることにもつながります」(武藤さん)
夫が急に死んだとき、多くの妻が「自分がいたらなかったのでは」「もっと色々してあげたかった」という後悔に苛まれるといいます。そうした悲嘆に暮れる日々の苦しみを和らげるという意味でも、夫が何を大切に思い生きていたのか、そうしたことを理解していることが大事なのかもしれません。
●夫の急死の事態に備え生命保険や利用する銀行口座は把握
また、気にしておきたいのは、生命保険や銀行口座などについて夫がどのような管理をしているか。もしものとき、正確な情報がないと後々手続きが大変になるといいます。
「もし夫が結婚前に生命保険に加入している場合、受取人の名義を実親のままにしていることもあります。そうなったときに妻や子どもは受取人になれませんので、どのような契約になっているか正確に把握できていないのであれば、今一度確認した方が良いです。また、ネット銀行などを利用している場合、キャッシュカードや通帳もないため口座の存在を知らなければ、権利が消滅することにもなりかねません。そのため、元気なうちにお金周りのことはしっかりと確認しておくようにしましょう」
こうしたことを徹底しておけば、万が一、夫が急死したときに焦ることも減るはずです。つらい気持ちには変わりありませんが、少なくとも極度のパニック状態に陥ってしまわないよう、できることは準備しておいたほうがよさそうです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)