「子どもは、深さ十数センチのビニールプールでもおぼれることがあります。河川やプールなどの水辺の事故は、命を失う可能性がとても高い、大変怖い事故なので、事前に万全な準備を整えてから出かけることが大事です」(横矢先生 以下同)
実際、警察庁の調べによると、2014年に全国で水難事故に遭った人の数は1491人。そのうち半数にあたる740人が行方不明や亡くなっており、子ども(中学生以下)の場合、河川での水遊びによる事故が多く発生しています。
「河川の場合、深さが浅かったり、流れが緩やかで一見安全と思いがちですが、突然の天候の変化で水位や流れが急に変わってしまうので、油断はできません。また、0~5歳の乳幼児の場合では、行動ができるようになる3歳児の水難事故が多いという調査結果もありますので、水遊びをする際は、細心の注意を払いましょう」
また、水の事故のニュースでは、水の危険を認識しているはずの小学生以上の子どもの事故も多い。その背景は…。
「複数人で遊んでいると、集団心理や好奇心、競争心などから、深くもぐったり、飛び込んだり、立ち入り禁止のところに入ったり、遊びがエスカレートしやすく、事故につながりやすいのです。大学生の川での事故などもニュースになっていますので、親として水難事故の恐ろしさについて、お子さんが小さいころからきちんと伝えておくことが大切です」
東京消防庁では、次のような防止策を呼び掛けている。
1)小さい子どもと一緒に水遊びをする際は、子どもから目を離さず、保護者や大人が必ず付き添って遊びましょう。
2)海や河川では、気象状況に注意を払い、荒天時や天候不良が予測される場合は遊泳や河川などのレジャーは中止しましょう。
3)海や河川では、ライフジャケットを着用するなど、事故の未然防止に努めましょう。
また、水の事故の危険は特別なレジャーだけに限ったことではない。夏のレジャーに行かない人も人ごとではなく、日々の生活のなかにも多くの盲点があるという。
「幼児はトイレやお風呂でも溺れて命を落とすこともあるんです。だからこそ、お風呂やトイレの中にある危険を取り除くこと。そして、それだけでなく、その前にふたをする、中に入れないようにするというさらなる防止策を何重にもしておくことはとても効果的だと思います。ただ、親御さんと一緒にいても危険なケースもあります。よくある事例では、親御さんがお子さんを浴槽に立たせてシャンプーしている間に、足を滑らせて溺れているというケース。このケースは、身近なママたちの間でもよく話題にのぼるそうです。たまにパパに子どもの入浴をお願いしたら、同じケースが起こったということもあるそうなので、家族で起こりうる危険について意識を共有しておくことも大事だと思います」
そして、最後に“親子で普段から心がけてほしいということがある”と、横矢さん。
「お子さんに“こうすると、こうなって危ないから気をつけようね”などと、子どもの行動が危険であることと、その理由を具体的に伝えるようにしましょう。そして、親御さんのように本気で見守ってくれる人がいることは、自分を大切にするという考えにつながります。自分を大切にできないと、注意が素直に聞けなかったり、自ら危険なところに飛び込んでしまうなど、投げやりな行動にもつながりかねません。どうか、普段から大事に思っているということを伝えてください。それが、事故の回避にもつながっていくでしょう」
危険回避というのは、突然できるものではありません。“備えあれば憂いなし”という言葉もあるように、日々の心がけが何より大事ですね!
(構成・文/横田裕美子)