
●事実婚夫婦と同棲カップルの違い
事実婚と同棲の違いは、ひと言で言えば、「夫婦としての意識」だそう。一般的に、夫婦というものは婚姻届けを役所に提出することで、法的に成立します。事実婚も同棲も、籍を入れない(婚姻届けを提出しない)という点では同じような気がしますが、一緒に住んでいる理由が異なるのです。
事実婚が認められるためには、「婚姻の意思」と「夫婦共同生活の実体」の両方を必要とします。しかし、同棲の場合は? ほとんんどの場合、同棲の理由は、「お互いが好きだから」「結婚前にお互いの色んな面を知っておきたい」というのが多いと思います。たとえ結婚を意識していたとしても、事実婚ではなく、「婚約状態」と捉えられます。
●事実婚夫婦のメリット
気持ちとしては夫婦なのに、あえて事実婚の形をとるメリットはあるのでしょうか?
□事実婚のメリット
・改姓義務がない
・別れても戸籍に傷がつかない
・お互いが対等に接しやすい
お互いが夫婦として協力しようとする意志と、個人として行動する意志のどちらも持っているのが事実婚です。正式な手続きを踏んで結婚すると、どちらかが苗字を変えなくてはいけませんよね。とくに共働きの場合、苗字が変わってしまうことで支障をきたすことも多いと聞きます。おそらく、改姓の義務がないということが理由で、事実婚を選ぶ人は少なくないのでは?
●事実婚夫婦のデメリット
さて、次にデメリットをみていきましょう。事実婚夫婦のデメリットを、以下にまとめました。
□事実婚のデメリット
・税金の配偶者控除が受けられない
・相続権がない
・子どもが非嫡出子になる
・パートナーであることを証明しにくい
「パートナーであることを証明しにくい」というのは、みんなに夫婦だと説明することが難しいという意味ではありません。たとえばどちらかが病院に緊急搬送され、意識がない場合。事実婚だと、手術の承諾書にサインできないことがあります。さらに、面会を拒否されてしまうことも。またほかにも、個人情報にかかわることができないこともあるのだとか。緊急であるときに限って、証明するまで対応してくれないというのは、もどかしいものですね。
たしかに、法律上の結婚とは少し違い、デメリットもあります。しかし、どんな形であれ夫婦であることに変わりはありません。実際に、事実婚から正式に婚姻届けを提出するというケースも多いそうです。二人に合った、結婚・夫婦の形を選ぶことが大切ですよ。
(文・明日陽樹/考務店)