昔からおなじみの「子どもの勉強の言い訳あるある」だけど、これってどういう心理なの? 教育研究所ARCS所長の管野淳一先生に聞いた。
「このセリフには2つの心理があります。ひとつは『本当にやろうとしているからこそ出た言葉』で、親からとがめられたのでやる気をそがれたケース。頭ではやらなければと思っているのに、身体は拒否してしまうという状況です」(管野先生 以下同)
この場合、子どもはウソを言っているわけではなく、「やるつもり」にはなっているものの、身体が拒否していることに気づいていないそう。ただし、それで実際に何も注意しないと、子どもはそのまま寝てしまったり、ダラダラして勉強せずに終わったりというのはよくあることだ。
「親はまず『今やろうとしていた』という子どものセリフをいったん認めること。そのうえで一度きちんと話し合いましょう」
頭で思っただけでは行動にはなかなかつながらない。そのため、子どもにはきちんとした生活リズムを作り、メリハリをつけて計画的に習慣化しないと体が動かないということを説明し、理解してもらうことが必要だという。
「さらに、子どもと話し合った上で、子どもに計画を立てさせたら、あとは見守りましょう。子どもの自主性と主体性に任せることが何より大切です」
●元からやる気がなく、言われてますますやる気がなくなることも…
そして、2つ目は「親から『やりなさい』と言われてやる状況に、子どもは屈辱を感じる」ということだそう。
「この場合、『今やろうとしてたのに、やる気をなくした』のは言い訳で、もともとやる気はなかったけど、親に言われてますますやりたくなくなったということです」
そもそも「面白くない勉強をなぜやらなければいけないのか」という不満が根底にあるため、より厄介だそう。
「勉強の必要性を伝えるには、親の勉強に対する哲学が問われます。実際のところ、多くの親が『勉強は面白くないが、将来のために仕方なくやるもの』と思っています。にもかかわらず『あなたの将来のため』と言っても、子どもからすれば矛盾に満ちていて、言われても効果がないのです」
「今やろうと思ったのに」と言われたら、まずは上記の2つのどちらなのか考えてみること。そして、親自身も勉強の意味を考えてみる必要がありそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)