子どもの「計画性」を育てる方法

第3回 子どもの「勉強に関する言い訳」あるある&対処法
「いつまでたっても自分で計画して勉強できない」「計画性がまるでない」。これらは子どもが何歳になっても、多数の親が言う言葉だ。

では、自分で計画性を持って勉強できる子ってどんな子なの? そう育てるために親がすべきことは? 

「『計画性のある子』に育てたいと多くの親は思いますし、そういうタイプの子は、親にとって安心です。でも、そもそも計画を立てるのが本当に良いことなのかどうか、一度疑ってみたほうが良いと思います」と言うのは、教育研究所ARCS所長の管野淳一先生。

「人には、大きく分けて『コツコツ型』と『直感ヒラメキ型』の2つのタイプがいます。前者はコツコツ努力で力を蓄えるため、計画を立てることが大切な指針になります。でも、後者の場合には計画が足かせになってしまうことがあります。ヒラメキ型の場合、ノッたらすごく力を発揮し、コツコツ型が長時間かけてたどり着いたところに一瞬で到達することもあるのです」

また、ヒラメキ型のタイプに計画を強要すると、「自分はダメだ」というコンプレックスを持ってしまうことにもつながるそう。

ノートにメモをする男の子

●子どもを不安や否定の目で見ないこと

「ウチの子、あんなことばっかり一生懸命やっていて。勉強は全然やらないんですよ」と言うのも、親が言いがちなフレーズだが…。

「親が思う『あんなことばかり』が、何に活かされるかわからないですよ。好きこそモノの上手なれで、得意技を持っている人にはチャンスがくるものです」

たしかに計画を立てて満遍なくやるタイプは、得手不得手の凸凹が少なくなり、成績が安定するという面はある。また、計画を立てることで、勉強にリズムが出る効果もある。

「でも、無計画な子には信じられない伸び方をする子もいるのです。計画を立てることの利点と、立てないことの利点がそれぞれあり、どちらが良いかはわからないのです」

とはいえ、「ウチはヒラメキ型だから、計画性がなくても大丈夫」と自信を持って言える親は少ないかも。親は自分の子のタイプをどう見極めるべきなのか。

「実際にコツコツ型か、ヒラメキ型かを見極める必要はありません。自分の子を肯定的に見ることが大切なのです。親はもっと自分の子について、おおらかに、都合よく考えても良いんですよ」

心配や否定の目で見ることは、子どもの可能性を阻む原因になるそう。親が「計画性」を強要し、子どもの良い面を奪ってしまわないよう、注意したいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

管野淳一
管野淳一
教育研究所ARCS 所長
高校講師、塾講師を経て進学塾クセジュを創立。2013年に教育研究所ARCS(アークス)を設立。塾という枠を超え、子育てに奮闘する父母に役立つ講演会やカウンセリングを行っている。
高校講師、塾講師を経て進学塾クセジュを創立。2013年に教育研究所ARCS(アークス)を設立。塾という枠を超え、子育てに奮闘する父母に役立つ講演会やカウンセリングを行っている。