手羽元から出る血のようなものの正体とは?どう調理するのが正解?

手羽元から出る血のようなものの正体とは?どう調理するのが正解?

料理に関するちょっとしたお悩みに対して、解決方法をわかりやすく教えていただく料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回は、手羽元を調理するときに出てくる赤い血のようなものの正体と、気にならないようにしながらもおいしく調理する方法をご紹介いただきます。

こんにちは、かな姐です。今年もよろしくお願いします!

年末年始は、わたしはずーっと台所にこもってお料理をしていました。

おせちは毎年決まった同じものを作るのもいいですが、少しずつアレンジしてより好きな味に近づけるよう楽しみながら作るのもまた楽しいですよね。

我が家では、本格的なおせちではなく、家族が好きだと言ってくれるものだけを作り続けているんですが(コーヒーラム酒風味の黒豆やごまめのキャラメリゼなど、他で食べるより断然おいしいので、娘たちは他所のを食べてその違いに衝撃を受けているようです)、実は毎年ちょっとずつ調理法を変えたり、調味料を変えたりしながら作っているのが1品だけありまして…それが筑前煮なんです。

毎年手に入った素材に合わせながら、実験的にあれやこれや試行錯誤するので、今年の筑前煮は果たしてどんな味になるかな…と、ちょっと楽しみというか、実験というか、わくわくしながら作っています。(煮物に関するお悩みに答えた回も参考にご覧くださいね

さて、新年最初にお答えするご相談はこちらです。

鶏の手羽元(手羽中)を調理するとき、血が出てきませんか?あれが嫌でティッシュで拭き取ったり、フライパンに押し付けたりするのですがいまいちな感じです。対処法があればご教示ください。

手羽元に関する疑問をいただきました。

安価でそしてコクがあってとってもおいしい手羽元ですが、加熱していると血のようなものが出てくることがあります。

血が出てるとなんとなく気持ち悪いし、まだ火が通っていないのかもと不安になるし、これ食べられるの?と思われている方も多いのではと思います。

特にグリルで焼いたり、オーブンで焼いたりするとこれが茶色くもりもりっと盛り上がって固まるので、そうなったらわたしはこの部分だけお箸で適当に落としちゃいますが…。

 

結論から申し上げますと、加熱しているときに骨の部分からしみ出てくる血のようなもの、これは血ではなくて髄液なので食べても問題ありません。

むしろ、骨付きのお肉がおいしいのは、この髄液のおかげで、ここに旨味やコラーゲンが含まれているからなんだそうです。

捨てちゃうなんてもったいない!!

 

しかし、この赤いのを出さないようにするためにはどんな方法があるのか、ネットで調べてみますと、

室温に戻してから調理する
骨にそって切り込みを入れ、火の通りをよくしてから調理する
ゆでる

などの方法があるようです。

1と2は良いとして、3は鶏のせっかくの旨味がゆで汁に流れ出てしまうので(ゆで汁も一緒に使うならば有りかなと思う)、今回は3は行わず、

骨にのって切り込みを入れる
ブライン液に30分間浸ける→水気をきちんとふき取る
フライパンで蓋をしながら蒸し焼きにする

という方法をご紹介しますね。

手羽元、8本入りのものを買ってきました。

手羽元って骨があるから、どのくらい買ったらいいか迷いますよね。うちではオットは4~5本くらい、女性陣は2~3本くらいでしょうか。

息子は10本以上食べていた気がします(笑)。

他におかずがあるかどうかによっても、食べる量は変わりますね。

よく観察してみますと、皮がついている側(写真の右側の手羽元、皮のぷつぷつがある側です)と、白い膜に覆われている側(写真の左側の手羽元。皮のように白いですが、皮ではなく膜のようなものです)があります。

皮じゃないほう、こちらを上に向けて、キッチンバサミを使って骨にそって切っていきます。

膜の部分は包丁が入っていきにくいので、キッチンバサミを使うと楽です。

チョキチョキ切って、手で骨をむき出しにしていきます。このとき写真の下側の部分、ここの骨の先までしっかり見えるくらい露出させるように開きます。

こうすると火の通りが良くなりますし、味のしみ込みも良くなる、さらに食べるときに身離れしやすいので食べやすくなります。

今まな板の上に並べた手羽元は骨側で、裏は皮の面ということになります。

これを、塩と砂糖とお水を混ぜたブライン液に浸けていきます。

鶏肉の切り口は水の中で崩れやすいので、ここでごしごしもんだりせず、浸け込むだけでOKです。

骨に添って切り込みを入れるとき、たまにこのように血管が残っていることがあるので、これは手でつまんで取り除いておきます。

ハサミで出口を作って、手でつまむとスッと取れます。

はい、取れた。

ブライン液に浸けることで、鶏肉全体に均一に下味をつけることができますし、いやなくさみも取れ、肉がしっとりジューシーに焼きあがります。

30分浸けたら、ざるにあけ(このとき鶏肉は洗わないでください!そのままでOKです)、さらにキッチンペーパーで水分を押さえます。

水気を拭いたら、皮を広げるようにしながら皮の面が下になるようにフライパンに並べていきます。

並べたら上からオリーブオイルを回しかけ、お好みでブラックペパーを振りかけ、中火にかけていきます。

7~8分ほどそのまま動かさず、焼いていきます。

6~7分ほど経つと、骨から血のようなものがしみ出てきます。

焦らなくても大丈夫。これがおいしさの素ですし、しっかり骨の中まで熱が入ってきた合図。

ひっくり返して裏面も同じように焼いていきますが、ここでお水を入れて蓋をし、蒸し焼きにしていきます。

髄液はからめちゃおう。

蓋をして、7分くらい。

途中焦げてくるようなら火を弱めます。

7分経ちました。

蓋を取るとまだ水分が残っているようです。

蓋はもう外したままにし、水分を飛ばすようにしながらこのおいしい髄液エキスをお肉にからめるようにしてできあがりです。

いかがでしょうか。

いつもの調味料だけですが、鶏の旨味を存分に引き出しつつ、しっかり味が付いた手羽元のフライパン焼きの完成~!

お水を加えて蓋をして蒸し焼きにすることで、髄液の赤いのも気にならなくなりますし、さらにはその旨味までからんでよりおいしくなります。

「手羽元のフライパン焼き」レシピ

分量

約3人分

材料

・手羽元…8本

・水…200ml

・塩…10g

・砂糖…10g

・ブラックペパー、オリーブオイル、レモン…適量

作り方

1. 手羽元は皮の反対側の面にキッチンバサミで切り込みを入れ、骨に添って広げる。ボウルに水と塩、砂糖を入れてよく溶かし、手羽元を入れて30分室温でおく(夏場は冷蔵庫に入れてください)。

2. ざるにあけて水気をきり、キッチンペーパーに並べて残りの水分を取る。

3. フライパンに手羽元の皮目を下にして並べ、オリーブオイルを回しかける。お好みでブラックペパーを振り、中火にかける。6~7分ほど焼いてしっかり焦げ目がついてきたら裏返し、水50ml(分量外)を入れて蓋をして蒸し焼きにする。7分ほど蒸し焼きにしたら蓋を取り、残った水分を蒸発させながら肉にからめる。お好みでくし形にきったレモンを添えて盛り付ける。

※鶏のにおいが気になる場合は、お水の代わりにお酒を使っても良いです

 

いかがでしたでしょうか。

オーブンやグリルで焼くと髄液だけが飛び出てきてそのまま固まってしまうのですが、フライパンで蒸し焼きにすると髄液も全てからめられるので、より旨みが増します。

ぜひ一度お試しくださいね。

ではまた、来月をお楽しみに!!

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