わずか20分「蒸し煮」するだけで「2日目のカレー」のような、野菜やお肉のうま味たっぷりカレーに仕上がるんですって!これは、NHK『あさイチ』で、分子調理学研究家のこじまぽん助さんが紹介していたレシピ。ところで、分子調理学とは初耳ですが、料理を科学の視点で考える調理法なんだとか。確かに「料理は科学」と言いますものね!わたしもぽん助さんにならって、科学の視点で激うまカレーを作ってみよう♪
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分子調理学って?
ネットなどで調べてみたところ、「分子調理学」とは、食材や料理のプロセスを科学の視点で分析して、従来の調理に科学的な裏付けをしたり、新しいレシピを生み出したりする考え方や技術のことだそうです。
分子調理学研究家・こじまぽん助さんは、そんな分子調理学の視点で、家庭の味をグンと超える激うまカレーの作り方を教えてくれました。分子調理学というとなんだか難しそうですが、いつものカレーの作り方とそれほど違いはありません。ただ、適当に作るのではなく、科学的根拠に基づいて作るのです!
また、ぽん助さんは自身のYouTubeでもこの分子調理学的激うまカレーを紹介していて、なんと94万回も再生されている人気ぶり!すごい!
今回はそちらも参考にしつつ、作ってみようと思います。
家庭の味をグンと超える!分子調理学的カレーのポイント
ぽん助さんの分子調理学的激うまカレーの特徴は、「塩分濃度の差」を使って、少量の水で「蒸し煮」すること。ポイントは2つ。肉を焼く時にかける塩の量と野菜に火を通す水の量。
塩の量は、肉の重さの0.8%。普段使う塩よりちょっと多め。そして、野菜には塩を振りません。これで肉と野菜に「塩分濃度の差」が生まれるわけです。
なぜ「塩分濃度の差」が大切なのか…ざっくり説明すると、物質は、塩分濃度を同じにしようとする性質があるそう。この場合、塩分濃度の低い野菜は、肉の高い塩分濃度を薄め、同じ濃度にしようと水分を出します。その水分の中にはうま味も含まれるので、「塩分濃度の差」によって、野菜のうま味が引き出されるというわけです。
つまり、「塩分濃度の差」は素材の水分やうま味を引き出す調理法と言えそうですね。
また、一般的にカレーを作るとき、具材を軽く炒めてから、たっぷりの水で煮込みますが、分子調理学的カレーでは炒めた後、少ない水で「蒸し煮」します。
理由は、たっぷりの水で煮る場合、塩に対して水の量がかなり多いので、全体的に塩分濃度が低くなります。それによって「塩分濃度の差」が小さくなり、素材から水分やうま味が出にくくなるそうです。
では、この2つのポイントを頭に入れて、調理開始!
ぽん助さんの「激うま分子調理学的カレー」材料と作り方
【材料】4人分
牛肉…300g ※部位の指定はなかったので、今回は煮込み料理用として売っていたバラ肉を使用。
にんにく…1かけ
しょうが…薄切り2枚分
玉ねぎ…1個
にんじん…1本
じゃがいも…3〜4個
サラダ油…大さじ2
こしょう…適量
カレールウ…4〜6かけ
水…適量
塩…2.4g ※お肉300gの0.8%の塩なので、300×0.008=2.4g。塩小さじ1杯約5gなので小さじ半分の塩を入れることにしました。
ぽん助さんからお肉に関する注意点がひとつ。スーパーでカレー用として売っている牛肉でも、脂身が少なくて赤身が多い肉は、焼いたり、煮たりすると水分が抜けて硬くなるので、脂身のあるお肉を選ぶといいそうです。また、カレーには薄切りではなく、サイコロステーキのような角切り肉のほうが食べ応えがあるのでおすすめとのこと。
使うカレールウは2種類。商品によって味の方向性が違うので、味の複雑さが生まれるそうです。今回はわが家にストックしてあった、ハウス「ジャワカレー 辛口」とS&B「おいしさギューッととけ込むカレー 中辛」を使います。
【作り方】
1. 下準備。
牛肉は2〜3cm角、にんじんは2〜3cm角に切ります。
にんにくとしょうがはみじん切り、玉ねぎは2cm幅のくし切りにします。
じゃがいもは3cm角に切り、水にさらしておきます。ちなみに野菜は皮を剥き、じゃがいもは芽も取りました。
2. フライパンにサラダ油を引き、加熱します。ぽん助さんは強火で加熱していましたが、テフロン加工のフライパンを使う場合は、強火はNGなので中火で加熱するのがいいと思われます。
フライパンが温まったら、牛肉を入れて焼きます。あまり牛肉は動かさず、しっかり焼き色をつける感じ。片面を焼いている間に、塩とこしょうを振ります。
片面にしっかり焼き色がついたら、ひっくり返し、もう片面にも焼き色をつけます。焼き色の目安は、真っ黒になる手前。「けっこう焦げてるんじゃない⁉」レベルでOK。
焼き色をつけるのにも科学的理由があるとのこと。タンパク質が加熱されると、タンパク質の分子構造が少し変わり、香ばしい風味が出るそうです。この香ばしさがカレーの味を複雑にしてくれるんですって。
お肉は両面をトータルで4分ほど焼きました。
3. 肉の両面に焼き色がついたら、弱火にします。フライパンの温度が少し下がったところに、にんにくとしょうがを入れ、混ぜながら炒めます。弱火にしたのは、にんにくとしょうがを焦がさないため。
にんにくとしょうががお肉と混ざったら、再び中火にして、香りが立ってくるまで炒めます。
4. 3に玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを入れ、炒めます。
1分ほど炒め、野菜の表面が肉の脂でキラキラしたら、水を入れます。水の分量はフライパン1周分くらい。フライパンの底から0.5~1㎝分くらいだと思います。
5. ここが最大のポイント!フタをして中火で「蒸し煮」。肉と野菜の「塩分濃度の差」を使って、素材の水分とうま味を引き出すわけですね。
途中で水分がなくなってきたら、少量の水を足します。フライパン内の水分が減っているかは、音で確認。「ピチピチ」という音がしたら、水が減っている証拠なので水を足します。くれぐれも焦がさないよう注意しましょう。
「ピチピチ」は聞こえませんが、5分ほど経つので焦げていないか心配。ちょっと見てみます。
おお~いい感じ。順調そうです。ですが、多少水が減ったようなので、50mlほど水を足すことに。再びフタをして、もうしばらく蒸し煮。
…蒸し煮を始めて15分経過。
じゃがいもの端が少し崩れてきたらOKとのことなので、ここで蒸し煮は終了します。
今回の蒸し煮時間は15分でした。番組でぽん助さんは20分ほど蒸し煮するとおっしゃていましたが、わたしは5分も巻いてしまいました。じゃがいもの切り方が小さかったのかな?
野菜からけっこう水分が出たので、途中で水を加えたのは1回だけでした。
ちなみに裏ワザとして、途中でコンソメを入れるのもアリとのこと。塩分濃度が高くなり、野菜から水分とうま味がより引き出されるそうです。今回はけっこう水分が出ていたこともあり、コンソメは入れずに作ることとしました。
6. 蒸し煮で野菜のうま味は出し切ったので、ここから水を入れて煮ます。水の量は野菜が水面からほんの少し頭を出すくらい。いわゆる「ひたひた」です。
スープが濁っていますね!これ、素材からうま味が出た証拠なんですって。水から煮たら、この色にはならないそうです。
フタはせず、強めの中火にして煮立てます。アクはうま味の一種なのでとらないとのこと。
煮立ったところでちょっと味見。うわ~、野菜と肉のうま味とコク、めちゃめちゃ出てます!水っぽさもなく、すでにこれだけでおいしいスープ!びっくり♪
7. 火を止めて、ルウを入れます。
加熱したまま入れるとルウの外側と内側に温度差が生じ、ダマになりやすいとか。火を止め、温度が均一になったところにルウを入れるのがいいそうです。
ルウ1かけで1皿分。今回は4人分=4皿分なので、「ジャワカレー」2かけ、「とけ込むカレー」2かけと、計4かけ入れます。
ルウを4かけ入れてもシャビシャビだったので、それぞれ1かけずつ、計2かけのルウを追加しました。
8. ルウがしっかりとけた後は、ルウのパッケージの作り方に従って、煮込みます。
ジャワカレーには、ルウがとけたら「弱火で10分煮込む」と書いてあり、とけ込むカレーは「弱火で5分煮込む」と書いてありました。
どちらに従おうか…。間をとって、7分煮込むことにしました!
9. ご飯を盛ったお皿に8をかけて出来上がり。調理時間は約35分でした!早ーーーい!いつものカレーは1時間以上かかるのに35分で出来ました!
ではいただきます!
おお~、コクうま~♡ コクとうま味がすごい!いつものカレーは出来立てを食べると、味が全体的になじんでないような…コクがないような…そんな感じがするのですが、このカレーは違う!もうすでにひと晩寝かせたカレー、いわゆる「2日目のカレー」のように味に深みがあってコクがあるんです!
これが、科学的根拠に基づいた、「塩分濃度の差」と「蒸し煮」の効果なんですね!お肉も硬すぎることなく、食べ応えがあって◎。じゃがいもは多少煮崩れましたが、とってもやわらかい。蒸し煮の工程でうま味を出し切ってくれた、にんじんと玉ねぎ。だからといって味がないわけではなく、甘みを感じます。
夫は「いつもと何かが違う。それが何かはわからない…でもおいしい」と言いながら、ルウをたっぷりかけて、おかわりまでして食べていました。相当気に入ったようです。
分子調理学と聞くと敷居が高そうですが、全くそんなことはなく、とっても簡単に、しかも時短で激うまカレーができる、すごい調理法でした。
ぜひ、ぽん助さんの「激うま分子調理学的カレー」、作ってみてくださいね。
配信: あたらしい日日
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