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「地震だ、火を消せ」
地震発生時にコンロなどの火を消すことは、昔から当たり前のように言われてきました。一方、最近の防災では「地震発生時に火は消さない」と言う意見も増えています。
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地震発生時の火災対策はどうすればよいのでしょうか。今回は地震発生時に火は消さないと言われている理由や火災対策について紹介します。
地震発生時に火を消すのは危ない?
「地震発生時に火は消さない」と言われるようになったのは、地震発生時に火を消そうとして怪我をする事例が多くあるためです。地震発生時に火を消そうとして鍋ややかんが転倒し、熱湯や油などを浴びて火傷を負うというケースもあります。
大地震が発生すると、大きな揺れが邪魔をして火を消しに行くことが困難です。無理に火を消そうとすると、揺れで手元が狂って負傷する可能性もあります。そのため、揺れが落ち着かない状態から火を消そうとするのは危険です。
またガスコンロの周辺には調理器具も多く、火を消そうとする際に包丁が落下したり、ボウルや鍋などが飛んできたりして怪我をする危険性もあります。食器棚や冷蔵庫などの転倒や中身が飛び出してくるなど、火元になりやすいキッチンには危険がたくさん潜んでいます。
そもそも地震発生時に火を消すと言われている理由
「地震だ、火を消せ」と言う標語が生まれたのは、1923年9月1日に発生した関東大震災がきっかけです。関東大震災では死者・行方不明者は10万5,000人で、このうち9万2,000人が火災によって亡くなっています。
関東大震災で火災による死者数が多くなったのは、調理をする際に使用する火元が七輪やガスかまどだったことが理由としてあります。地震発生時がお昼だったため、食事と重なって調理器具を使う家庭も多く火災が広がりました。
このような大規模火災が発生したことから、同じ被害を出さないために「地震だ、火を消せ」という標語が生まれました。しかし、関東大震災から約100年が経過した現在は当時の状況と大きく変わっています。IHを使う家庭も増えましたし、プロパンガスを使っている場合でも震度5強以上を感知するとガスの供給は自動停止します。
メーカーの火災対策が進んだこともあり、地震発生によって火災そのものが発生するリスクよりも無理に火を消そうとして怪我をするリスクが上回るようになったことから、「地震発生時に火は消さない」と言われるようになりました。石油ストーブやガスストーブなども、対震自動消火装置や転倒時ガス遮断装置などの火災対策が進んでいます。
配信: 防災ニッポン