●負けず嫌いが前面に出る子は合格しやすい!
――そもそも子役に向き不向きはあるのでしょうか?
「資質としては“目立ちたがり屋で何でも楽しめ、負けず嫌いな子”が向いていると言えますが、子どもって、本当にものすごい勢いで変わっていくんですね。レッスン中、母親と離れるのが嫌で、毎週泣いていた子が、ある日突然泣かなくなって、レッスンに本腰を入れるようになったりするので、一概に向いている向いていないというのは言えないと思います。また、中学に入ってようやくやる気が出たり、花開くまでの歳月も個人差があるので、親御さんはなかなか見極めが難しいかもしれませんね。負けず嫌いな姿勢が前面に出てくる子は、熱い思いが伝わりやすく、オーディションにも合格しやすい傾向がありますね」(仲澤氏 以下同)
――子どもを子役にするにあたって、ママとしての心得は?
「一番はあまり口出しをしないことです。お母さんが熱くなって“やりなさい! なんでこんなこともできないの!”などと口を出してしまうと、子どもは萎縮して自分を表現できなくなってしまいます。どんな時も見守ってあげる姿勢が大切。例えオーディションに失敗したとしても、その状況を丸ごと受け止めてあげてほしいですね。1度で受かる奇跡のようなオーディションはそうありません。何回、何十回もチャレンジして、お仕事がひとつ決まればいい方だと考えて頂きたい。“なぜこんなこともできないの”は禁句です。お母さんが熱くなると、主役であるお子様がNGを出すことを怖れ、オーディションの場で自分の魅力を出せなくなってしまいます。結果ではなく、そこまでやってきたお子様の頑張りを認めてあげてください。あともうひとつ大切なのは、ある程度、わが子のやんちゃを抑えられるママであること。現場で高揚して走り回ったりした際、お子様のテンションを萎えさせることなくきちんと止められるお母様が望ましいですね。いつもは大らかだけど、お子様の間違いはしっかりと正すことができる…そんなお母さんであれば、出演の現場だけでなく、どんな場面でも尊敬されるのではないでしょうか」
――「東俳」でレッスンを受ける際のメリットは?
「ただ演技やダンスなどを教えるのではなく、将来的に素敵な大人になれるような…そんなレッスンを目指しています。芸能界で成功できれば一番ですが、途中で違う道を見つけたとしても、『東俳』で学んだことが糧になる…そんな有意義な時間を過ごしてほしいなと思います。劇団で学ぶと、自然と自己アピール力が身に着くので、実際に、私立小中学校の面接、高校の推薦や大学のAO入試で合格する子が多いです。親御さんとスタッフが一丸となって、将来の宝である子どもたちを見守る…そしてダメなときはしっかりと叱る。いろんな大人たちが関わり、見守ることで、さらにお子様たちは健やかに伸びやかに成長し、社会的マナーを身に着けていく。子どもたちが通う劇団には、少なからずそんなメリットがあるのではないでしょうか」
テレビや映画に出ることだけがステータスではなく、1人の人間としてどう成長していくのか…。家庭教育や学校教育の質が問われる昨今、劇団で、やがて社会に出ていくためのスキルを鍛え上げることは、ひとつの教育法と言えるのかもしれない。
(取材・文/蓮池由美子)