子どもの算数脳をぐんぐん伸ばす○○タイム!

第2回 子どもの算数力がぐんぐん伸びるコツ
お子さんが小学校に上がると、本格的に勉強が始まります。入学してからわが子が困らないようにと、特につまずきやすい算数の計算ドリルを必死に解かせている親御さんも多いのでは? しかし、本当の算数力は、学習前に算数を理解する土台となる実体験をたくさん積ませることだといいます。それは、机に向かわせて嫌々ドリルを解かせることではなく、日々の楽しい○○タイムでこそ育つという。そこで、子育て本作家の立石美津子さんに○○タイムの過ごし方についてお話を伺いました。

「算数は、計算だけでなく、むしろ物の数や長さ、重さ、お金の計算など、生活に密着した教科です。だからこそ、机上の勉強ばかりでも身につかず、むしろ生活のなかで学習することが一番効果的なのです」(立石さん 以下同)

では、算数の土台が育つ日々の○○タイムの有効な過ごし方とは?

1)おやつタイム

子どもが大好きなおやつタイムは、算数を学ぶのに絶好の機会だという。

「クッキーや飴などを、大人が分けるのではなく、子どもにお手伝いさせてください。例えば、9枚のクッキーをまとめて渡し、子どもが3人いたら“3人に同じ枚数分けてね”とお願いします。ここで、すでに割り算の計算がわからなくても、その概念は学んでいるのです。さらに、わが子とお友だち2人だった場合も、あえて割りきれる数を与えず、9枚渡します。つまり、ここで9÷2=4あまり1という、割り切れないことを自然に学習できます。こういう実体験の積み重ねがある子は、算数の時間に割り算が出てきても、すぐにイメージできて理解するのが早いのです」

クッキー

2)お風呂タイム

お風呂タイムは親子のコミュニケーションがはかれる場であり、算数を学べる要素もたくさんあるという。

「お風呂から上がる前に数えさせている親御さんは多いと思いますが、お風呂タイムはひと工夫でいろいろな算数の概念が学べる場です。例えば、子どもがつまずきがちな“かさ”の勉強。100円ショップなどで1000ccの軽量カップを購入し、それを“はい、1000mlね~”と言って、頭からドバーッとお湯をかけます。子どもはキャッキャッと喜びます。それを5回かけ、“今日は5000mlかけました~”と言います。そして、時には“5ℓ、50dl、5000cc”と、同じ量を違う単位で言うことで、量の概念が自然に身につくのです」

“かさ”については、お風呂だけでなく、ジュースや牛乳を飲む時も、ただ飲むだけでなく、裏の表示を見せ“かさ”の単位を理解する素地を育てましょう。さらに、お風呂から上がったあとも算数を学べるチャンスが。

「親御さんは自分だけ体重計に乗ってませんか? ぜひ、お子さんの体重もはかり、重さの概念を学ばせてください。自分の体重だけでなく、いろいろな物をはかってみてもいいですね!」

3)お買い物タイム

お金の概念は、机上で学んでもなかなか身につかないもの。お買い物で実践することが、もっとも効果的だという。

「一緒にお子さんと買い物に行った際、スーパーでまとまった合計金額を払うだけではなく、たまに商店街の小売店などに立ち寄って、お子さんに買い物をさせ、お店の人とのお金のやりとりを体験させましょう。また、自動販売機でお茶を買う時に、お子さんにお金を握らせて買わせたり、電車に乗る時も、SuicaのようなICカードをあえて使わず、お子さんに硬貨を投入口に入れる体験をさせるのもお金に触れるいい機会です」

スーパーでお買い物する際は、重さの勉強もできるという。

「お肉の重さが300gなど、そういったことを親子で話しながら買い物をするだけで、自然に重さの概念が身につきますね」

日々の生活のなかで意識するだけで、算数の土台はしっかりと身につくもの。こういった実体験があれば、複雑な文章問題に突入してもイメージできるので戸惑うことはありません。ぜひ、今日から実践してみてください!
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

立石 美津子
立石 美津子
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。