もしもわが子が犯罪の被害に遭ったら?

第3回 夏休みは危険 わが子を犯罪から守るために
普段からどんなに気をつけていても、犯罪被害に遭ってしまう可能性はゼロではない。直接的な被害とまでいかなくても、「変なことを言われた」「急に触られそうになった」などの怖い思い、不快な思いをした経験がある子は少なくないだろう。

もしも自分の子が犯罪に巻き込まれたとき、親はどんなケアをすべきなのだろう? 犯罪から身を守るコツを伝えるプロジェクト「うさぎママのパトロール教室」主宰であり、安全インストラクターとして豊富な経験がありメディアにも出演するカリスマ講師・武田信彦さんに聞いた。

一人で遊ぶ女の子に忍び寄る人影

●犯罪被害は、子どもから言い出しにくい

「子どもが犯罪被害に遭った場合、言いにくい、知られたくない、行為自体が理解できなかった、などの理由から大人に言い出せないケースが多々あります。少しでもわが子の変化を察知したら、まずは安心して話ができる環境を作り、何が起きたかを聞いてあげてください」(武田さん 以下同)

親自身の不安や焦りからきつく問い詰めたり、「言いなさい!」と高圧的な態度に出たりするのは逆効果。内心は動揺していても、普段と変わらないトーンで接するのもポイントだ。

では話を聞いた結果、わが子が犯罪の被害に遭ったことが明らかになったら親はまず何をすべきなのか?

「あやふやに家庭内で処理せず、速やかに警察に通報してください。“不審者が発生した”として扱われているケースには、明らかに犯罪行為が行われているものもあります。緊急性が高い場合は110番へ。相談などの場合は最寄りの警察署へ電話して担当者へ伝えてください」

警察に相談した後は、具体的にはどんな流れを想定しておけばいいだろう。

「警察官が状況をみて、必要に応じて病院の手配や付き添いなどを行ってくれます。事件として処理されると被害者である子ども本人への聞き取りなども行われますが、ご家族でサポートしながら対応していきましょう」

バツ印を作る女の子

●被害者支援センターなどに相談を

被害者になってしまった悲しみや苦しみ、恥ずかしさ、悔しさ、怒り…。犯罪に巻き込まれたことで、子どもはもちろん、親や家族も一緒になって長期的に苦しみ続けるケースは決して少なくない。だがそんなときこそ内にこもらず、外部の専門機関に相談すべきだという。

「警視庁では、性犯罪などの被害者や家族が抱える心の悩み相談に対応する、犯罪被害者ホットライン(03-3597-7830)を設置しています。また、ネット上で“被害者支援センター ○○(住んでいる自治体)”で検索すると、自治体の被害者支援センターが見つかるので問い合わせてください。また、心のケアのために専門のカウンセリングを受けることも選択肢のひとつです」

起きてしまった事実は消せないが、傷跡を少しでも癒すことはできる。もしも不幸にも犯罪の被害に遭ってしまったら、自分たちだけで抱え込まず、サポートしてくれる機関や制度を利用していこう。
(阿部花恵+ノオト)