ギャングエイジとは?
子どもの成長にとって、ギャングエイジはどのような意味があるのでしょうか?まずは、ギャングエイジの役割・始まる時期の目安を解説します。
社会性・協調性を育む成長過程のひとつ
「ギャングエイジ」という言葉が持つ印象から、なんとなくネガティブなイメージを持つかもしれませんが、ギャングエイジは問題行動ではありません。
親にとっては育てにくさを感じるギャングエイジですが、子どもの社会性を育むために重要な時期です。友だちと仲よくする・相手に合わせるといった社会性・協調性は、コミュニケーション能力の土台となります。
学校・会社・家庭など社会においては、複数の人間がお互いに気持ちよく生活するうえでコミュニケーションが欠かせません。
親から離れなかった子どもが、友だちを優先するようになるのは、社会性が育っている証ともいえるでしょう。
小学校3〜4年生ごろに始まるのが一般的
ギャングエイジのギャングは「仲間・集団」を、エイジは「年齢」を意味します。仲間意識が芽生えた子ども同士で集団をつくる状態を「ギャングエイジ」と呼び、小学校生活に慣れる3〜4年生ごろから始まるケースが一般的です。
もちろん個人差があるので、小学校1〜2年生のころから、ギャングエイジを思わせるような反抗的な言動が目立つ子どもも存在します。
反対に、小学校5〜6年生ごろから仲間をつくり始める場合も少なくありません。
参考: 3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題:文部科学省
小学校低学年男の子の学校外での行動について -現在小学校低学年男の子- 学校 | 教えて!goo
ギャングエイジの子どもに見られる言動
第1子の場合はとくに、子どもがギャングエイジなのかを判断するのは難しいでしょう。次は、ギャングエイジの子どもに見られる言動を紹介します。
同じ年齢の子どもでグループをつくる
ギャングエイジが始まる前の子どもは、年齢・性別に関係なく、様々な友だちと遊ぶ子どもが多いものです。
しかし、ギャングエイジになると、同じ年齢・性別の友だちグループで行動をともにし、秘密・きまりなどを共有して仲間意識を強めていく傾向にあります。
グループ内の友だちを大切にする一方で、それ以外の子どもとは遊ばないといった排他的な行動が見られる場合もあります。
参考:参考資料2 各発達段階における子どもの成育をめぐる課題等について(参考メモ)[改訂] :文部科学省
大人に対する反抗的な態度
周囲の大人に対して反抗的な態度を取るのは、ギャングエイジの特徴です。自分たちだけのコミュニティを形成するギャングエイジは、思春期の始まりとも考えられます。
このとき親・教師を客観的に見られるようになり、大人の理不尽な言動・矛盾を敏感にキャッチする傾向にあります。
ギャングエイジの子どもにとって、グループ内の仲間は絶対的な存在です。そのためグループ内の意見と合わない場合には、親に対してもうそをついたり、反抗的な態度を取ったりすることがあります。
隠しごとや悪ふざけをする場合も
親よりも友だちを優先するギャングエイジには、隠しごとが増える傾向にあります。たとえば、帰宅後に学校のエピソードを話してくれていた子どもが、ギャングエイジが始まると親との会話を避けるのは珍しいことではありません。
また常に集団で行動することから強気になり、ふざけて授業中にわざと大きな声で話したり、グループ以外の子どもをからかったりする場合もあるのです。
大人をイライラさせるような言動が目立つのは、ギャングエイジが始まったサインとも考えられます。
ギャングエイジの子どもへの接し方
ギャングエイジの子どもへ接するときには、行動の奥にある気持ちに寄り添う配慮が大切です。言うことを聞かせようとするのではなく、少し距離を取って子どもの行動を見守りましょう。
感情的に叱るのは逆効果
自分を大きく見せたいあまり、「うざい」「うるさい」といった乱暴な言葉づかいをするギャングエイジの子どもは少なくありません。子どもに反抗的な態度を取られると、イライラするのは無理もないでしょう。
ただ、ここでギャングエイジの子どもを感情的に叱るのは逆効果といえます。大きな声を出して感情的に怒ると、反発心を持っている子どもは言うことを聞くどころか心を閉ざしてしまうからです。
ギャングエイジの子どもと話すときには、できるだけ冷静に自分の思いを伝えることが大切です。どうしてもイライラする場合には「ギャングエイジだから仕方ない」と、子どもの反抗的な言葉を聞き流す方法もあります。
見守っていることを伝える
ギャングエイジの子どもと関係を築くためには、少し距離を置きつつも、いつも味方であるとを伝えることが重要です。
反抗的な言葉を浴びせる背景には「何をしても見守っていてくれるか」と、親の愛情を試す子ども心が存在するといいます。
このとき親に見守られているという安心感があれば、度を過ぎた行動・トラブルの抑止につながるかもしれません。
適度な距離を取りながらも「気をつけてね」「暗くなる前に帰ってくるんだよ」のような会話を投げかけ、見守っていることを伝えましょう。
友だちとのトラブルに干渉しすぎない
友だちとの関わりが深くなるギャングエイジ期には、けんか・仲間外れなどのトラブルが増える傾向にあります。たとえ、友だちに問題があるように見えても、子どもの人間関係を否定するのは禁物です。
ギャングエイジの子どもは、基本的に親よりも友だちを優先します。友だちを否定する親に不信感を抱き、心の距離が広がる可能性もあるのです。
ただ、ギャングエイジ期にはいじめが発生しやすいため、必要な場合には親として担任・学校へ配慮を求めることも大切です。子どもの変化に気づけるように、学校に行く前後の表情をチェックする方法もあります。
ギャングエイジを経験しない子もいる?
一方で、いつまでもギャングエイジの特徴が見られない子どもについて、不安に感じている人も少なくありません。成長の過程といえるギャングエイジは、すべての子どもが経験するものなのでしょうか?
ギャングエイジのない子は増加傾向
小学校3〜4年生ごろの子どもが全員ギャングエイジになるとは限らず、ギャングエイジのない子どもは増加傾向にあります。
ギャングエイジには「グループに入りたい!」という仲間意識が欠かせません。そのため集団行動を好まない子どもは、ギャングエイジになりにくい傾向があります。
また習いごとが多かったり、子ども同士が集まる時間・スペースが少なかったりといった社会背景からも、ギャングエイジを経験しないまま大人になるケースも増えているのです。
ギャングエイジのない子は親にとっては育てやすい一方で、子どもの社会性が育ちにくい可能性もあります。
ギャングエイジ期に1人でいる子への接し方
ギャングエイジ期なのに、子どもが友だちと遊んでいないと不安に感じる人もいるでしょう。なかには1人で過ごすことが好きな子どももいるので、無理に集団遊びをさせる必要はありません。
ただ、グループに入りたいのに、1人だけ浮いてしまっている様子ならフォローが大切です。本人に話を聞いてみるのはもちろん、担任に相談をし、子どもが1人にならないように配慮してもらう方法もあります。
また、毎日のように習いごとがあり、友だちと遊ぶ時間がないためにグループに入る機会を逃している可能性も考えられます。子どもがギャングエイジを経験できるように、下校後の習いごとを少なくして、友だちと遊ぶ時間・機会を設けることもポイントです。
まとめ
複数の友だちと群れるギャングエイジは、小学校3〜4年生ごろから始まるのが一般的です。
大人に対して反抗的な態度を取るので、親にとっては育てにくい時期といえます。ただ、子どもにとってのギャングエイジは、将来必要な社会性・協調性を養う重要な成長過程です。
ギャングエイジ期は子ども扱いされるのが嫌な反面、大人にもなりきれない複雑な時期でもあります。また、子ども同士の関わりが深くなる分、けんか・仲間外れといったトラブルが起きやすいのも事実です。
適度な距離を保ちつつ、子どもが困っているときにサポートできるような関係を心がけましょう。