「子どもだけの留守番には、様々な危険が潜んでいるので、本当は誰か信頼のおける大人が居る環境で過ごすことがベストですが、皆さんいろいろ事情もあるのでそうもいきませんね。ですから、留守番をさせるときには、起こりうるあらゆるシーンを想定して、その対策を事前にしっかり準備しておきましょう。それでも、想定を超えたことをするのが子どもなのです。小学生くらいになって長時間の留守番をさせる機会が増えていく場合は、より気をつけて欲しいと思います」(横矢さん 以下同)
そこで盲点となる事例を、横矢さんにいくつか挙げていただいた。
●一人じゃないから大丈夫は間違い!
「よく、“きょうだいで一緒にお留守番だから”、“お友だちが来てるから”大丈夫とつい安心してしまいがち。でも、きょうだいや友だちが一緒だからこそ、危険なことがエスカレートしてしまったりすることも。つい最近起こった事例では、留守番をしていた子が友だちと自宅マンションの宅配ボックスに入ったりして遊んでいるうちに、一人が閉じ込められてしまったという事件もありました。きょうだいの場合でも、上の子が何かに夢中になっているときに下の子が転落事故に遭ってしまったというケースもあるので、気をつけましょう。留守番中に友だちが出入りすると、カギをかけ忘れることも多いので、注意してください」
●留守番中に地震が起きたら? 体調に急変があったら?
「お子さんが留守番しているときに、大地震が起きたら? と考えたことがありますか? 最近は、地震も各地で頻発していますし、地震が起きたときにどう対処するかについて、しっかり親子で話しておくことをおすすめします。また、家具の転倒防止やガラスの飛散フィルムなどの対策も日ごろからしておくことも忘れずに! また、お子さんの体調の急変についても、あまり皆さん想定しませんね。でも、これも大事なことです。突然お腹が痛くなったり、嘔吐してしまったら、どうするのか? 親に電話するのか? 近くの頼れる人に助けを求めるのか? など、必要な連絡先を伝えることはもちろん、対処法についてもよく話し合っておきましょう。一人で対応するのは難しいだろうと不安になった方は、留守番は、まだ早いのかもしれません」
●ベースとなるルールは決めていますか?
「留守番中にここまでは許す、ここまではダメ! というベースになるルールはしっかり決めておきましょう! 例えば、普段は台所に立たないお子さんが、留守中にお母さんの見よう見まねで包丁やコンロの火を使ってケガや火傷をしてしまったケースも多数報告されています。普段はやらないから大丈夫…ではなく、きちんと刃物と火は使っちゃいけないルールを決めておきましょう。例えば、電子レンジならいいといっても、レンジにかけちゃいけない物や、長時間かけたら火がでることなど、しっかり使い方を学ばせてから使わせるようにしましょう。身近で、蒸し器やかき氷をつくる器械を使ってやけどやケガをした子たちは、小学校の中学年でした。ふだんやらないことを、親の留守中に試してみたくなる時期ですね。火災にも要注意です」
●絶対にこうしなければならない! マニュアル化の恐ろしい盲点
「約束やルールをある程度きめなければならない一方で、“絶対にこうしなければならない!”というマニュアル化は、実は危険な面があります。以前、何か起きたら、必ずすぐお母さんに電話して相談するようにと言われていた子が、火事が起きたときに逃げずにお母さんに電話をしている間に火にまかれてしまったという痛ましい事件がありました。子どもは純粋なので、言われた通りにしなきゃと一途に思ってしまうものなんです。将来的には、臨機応変に対応できることを目標にしましょう」
“まだまだ数えきれないほどの盲点がある”と、横矢さんは話します。まずは親御さんができる限り危険回避対策のレベルを上げておくこと。そのうえで、日ごろからしっかりお子さんと起こりうることへの対応策について話し合っておきましょう。お子さんの年齢や性格を考えて、どの程度の話をするか、決めていくのがいいそうです。
(構成・文/横田裕美子)