この状況について、女性と子どものための相談機関・フェリアンの窪田容子さんは次のように言う。
「『子どもをかわいいと思えない』という相談を受けるケースは多々あります。子育ては子どものニーズに合わせることが求められます。『愛せない』『かわいくない』と感じるときがあっても当然。誰しも、わずらわしいと思うことがあるものです」(窪田さん 以下同)
勤務時間だけ相手のニーズに合わせる仕事と違い、子どもが幼い頃の育児は24時間母親であることが求められる。母性神話により「子どもを産めば母性があふれ出て、子どもがかわいくて仕方がなくなるものだ」という考えが浸透している。そんななかで「子どもが愛せない」という現実にショックを受け、苦しんでいる人は少なくないという。
「産後、身体も回復してないなかで、夜中の授乳や夜泣きでまとまって睡眠をとることもできない状況が続いたり、夫が帰宅してもねぎらってもらえなかったり。不安と緊張により、子どもに愛情を注ぐ心の余裕がなくなってしまうのです」
親や義親から子育てについて批判されたらなおさらだ。2人目を産んで、心身共に大変な時期に、上の子がわずらわしく感じることも珍しいことではない。
●完璧なママであることを自分に求めすぎないようにしよう
大切なのは「自分は母親失格だ」と責めすぎないこと。
「完璧なママを自分に求めすぎないようにしましょう。。子どもがいなかった頃と同じレベルの家事を目指すなど、完璧を求める人ほど理想と現実のギャップに苦しみます。そういうママは、子どもに対しても完璧さを期待して、思い通りにならないと失望してしまう可能性も」
まずは「かわいいと思えない」という自分を認め、心身のゆとりがなくなっているサインとして受け止める。そして、夫や家族に子どもを見てもらって、ゆっくり寝る、気分転換に外出するなどの「物理的サポート」や、身近な人に愚痴を聞いてもらう、電話相談や専門機関に相談するなどの「精神的サポート」を確保することが重要だ。
ひとりで苦しまず、「私、よくがんばっているよね」と自分で自分をほめてあげることから始めてみるのもいい。
(北東由宇+ノオト)
※1
『わが子を「愛せない」と思うとき』(平成13年/コモ編集部編/株式会社主婦の友社発行)