「夫婦の危機は、もちろん夫婦それぞれのケースがあると思いますが、実はほとんどの夫婦の危機には共通の人生ターニングポイントとなる出来事があるんです。なかでも多いのが、妊娠・出産、子どもの進路・進学、子どもの自立・結婚、親の介護、夫の退職などです」
そう話すのは、夫婦問題カウンセラーでHaRuカウンセリングオフィス代表の高草木陽光さん。つまり、危機を回避するために一番有効なのは、そのターニングポイントを事前にしっかり夫婦で把握しておくことだという。
「結婚後、どんな出来事が起こっていくかということは、皆さんだいたいわかっていらっしゃると思いますし、想像できますよね? そういったことを実際に具体的な表などにして“見える化”することが大事なんです」(高草木さん 以下同)
例えば、何歳のときにこの出来事がある。そのとき夫の年収はいくらで、子どもは何歳で、介護も重なって…というように目に見えるようにして、二人でそれをもとにいろいろ事前に話し合って、対策しておくことが何よりの回避になるという。
「女性はわりと、“こういうときは、こうして、ああして…”と、想像力を働かせることが得意なのですが、男性は漠然とはわかっていても、想像力を働かせることが苦手な人が多いんです。だからこそ、ライフプランを見える化することは、ご主人の意識を変えることにもとても有効です!」
では、プランを立てるタイミングはいつごろがいいのだろうか?
「結婚当初に立てて、年々見直していくのが一番ですが、もちろんある程度お子さんが大きくなってからでも、お子さんの自立・結婚や親の介護、夫の定年など、まだまだいろいろターニングポイントがありますね。意外と書き出してみると、○○と○○が重なっていたなど、気付かなかったことに気づかされたりするものです。問題に直面してから話し合うのはものすごく労力が必要になります。気持ちに余裕がない分、責任のなすり合いになったりもします。だからこそ、事前にターニングポイントを予測して、“もし、こうなったらどうしようか?”など、もしも話しをたくさんして、お互いの考えや気持ちを理解しておくことが大事です」
また、夫にライフプランについて相談するときに、スムースに話し合いを進めるコツもあそう。
「夫に真剣に考えてもらうきっかけ作りとして、漠然と話すのではなく、奥さんの方である程度簡単なライフプラン表を作って、それを見せながら話すと真剣さが伝わって、ご主人も真剣に向き合ってくれるものです。いきなり“こうなったら、どうする~”と話を切り出しても、“そんなことまだいいだろう~”と、軽く流されてしまったりするので、ぜひ実践してみてくださいね!」
備えあれば憂いなし! ターニングポイントに差し掛かる前に、互いの気持ちをしっかり理解して準備をしておくことこそが、危機を乗り越える最大の対策のようです。
(構成・文/横田裕美子)