愛着障害は、何歳くらいで起こるのか。どんな特徴があるのか。淀屋橋心理療法センター所長の福田俊一先生は言う。
「愛着障害は、小学生くらいから、30代くらいになっても見られます。幼い頃に親から受けた虐待や放置などにより、人間不信になってしまい、人との積極的な関わりを避ける子もいれば、寂しさから常に他人に依存してしまう子、周りの目を気にして常にビクビクしているといった子もいます」(福田先生 以下同)
また、兄弟姉妹間で自分ばかりが十分愛情を受けていないと感じてきた場合、何か問題にぶつかるたびに「お姉ちゃん(あるいは妹、兄、弟)ばかり大事にされてきたから、自分はどうせダメだ」などといった思いを募らせることもあるそう。
愛着障害は親の接し方によって生じるが、環境や個人の資質によっても起こりやすさの差があるという。
「兄弟姉妹関係でいえば、やはり真ん中の子に多い印象があります。いちばん上は親の目が届きやすく、下の子は甘え上手なことが多いのに対し、どうしても『愛情を与えられていない』と感じやすいのです」
ただし、これは「甘えたいのかな」「話を聞いてほしいのかな」という母親の気づきと援助があれば、問題は早く解消しやすいそうだ。
●親の愛情不足が原因だからこそ、改善の道はある!?
また、親が注意深く見ていったほうが良いのは、いわゆる「勘の強い子」や、「執着心の強い子」「神経質な子」だそう。
「すぐに不満などを口にする子は良いですが、特に難しいのは、我慢強くて気性の激しい子。長期間我慢し続けた挙句、突然怒りを爆発させ、後々まで親に対する恨みを引きずることがあります。成人になってから爆発してしまうと、人生の道を誤ってしまうこともあるのです」
ちなみに、愛着障害には「コミュニケーションがとりにくい」「人とのかかわりを持ちにくい」など、自閉症と似た症状もあるが、その違いとは?
「自閉症は、親の愛情不足などの環境要因で起こるものではなく、親の接し方を変えても変化があまりありません。しかし、愛着障害の場合は、親の接し方でみるみる変わっていきます」
つまり、愛着障害の場合は、親が話をよく聞いてあげたり、丁寧にかかわっていったりすることで、改善されることが多いのだ。
子どもに気になる症状がある場合、もしくは不登校や摂食障害などのなかなか乗り越えづらい問題がある場合には、親子の対話の時間をしっかりと持つことが大切といえそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)