「それは、注意する側の親の工夫が必要なのかもしれません」
そう話すのは、子育て本作家の立石美津子さん。子どもが言うことを聞かない理由は次のようなことが考えられるという。
1)ハードルが高すぎる
子どもの理解度が年齢的にまだそこまで至っていないのに、親が求めるハードルが高いケース。
「例えば、スーパーのお菓子コーナーで“買って~!”と泣きわめいている子をよく見かけます。親御さんは我慢することを教えようと“買わないっていったでしょ!”と叱ります。親御さんの気持ちももちろんわかります。ですが、子どもの目の前に誘惑がズラリと並んでいるのに一切禁止は子どももつらいもの。そんなときは、まずは要求や課題のハードルを少し低くしましょう。“毎日はダメだけど週2回は買っていい”“おウチにある分がなくなったら新しいのを買う”など…。高すぎるハードルよりも、ちょっと自分が頑張ればできる低いハードルから与えてみましょう」(立石さん 以下同)
2)言葉が伝わっていない・耳にタコができている
親は伝えているつもりでも、伝わっていない可能性も!
「まだ生まれて数年の子どもは人生経験が短いので、抽象的なニュアンスだとしっかり伝わっていない可能性があります。“早くしなさい!”“ちゃんとしなさい!”と、連呼してしまう親御さんも多いと思いますが、“早くするってどういうこと?”“ちゃんとって何?”という状態になっています。“100数える間に片づけよう”“ご飯を食べるときは足を下ろそう”など、具体的に伝えましょう! また、注意する回数が多すぎると、親御さんの言葉自体が念仏やBGMのようになってしまうので気をつけましょう」
3)できていないときだけ叱って、改善しても無視する
親御さんは“悪い行動”にばかり目がいきがちだそう。
「つい、わが子の悪い行動、出来ていないこと、不足の部分ばかりにスポットライトを当ててあれこれ叱ってしまい、例えば子どもが1つでもおもちゃを片付けても、苦手な食べ物を頑張って少し食べていても、“当たり前”と無視してしまいがちなんです。それでは、子どもも頑張ったり改善している行動を認められることがないので、元のやらない状態にすぐ戻ってしまいます。改善が少しでもあったら、“ママに言われなくても片づけできたね”“少しずつでも食べているね”と、褒めたり、認めてあげましょう!」
むしろ、悪い行動や出来ていないことはなるべく叱らず、出来たことを褒めてみると、叱ってばかりより行動の改善がみられるという。
「これは、心理学でも使われる“正の行動を強化し、負の行動を強化しない。すると負の行動は消滅する”という方法です。ぜひ、実践してみてくださいね!」
この方法は、しつけだけでなく、例えば宿題やテストの添削などの際にもおすすめだという。
「出来ていない部分を真っ赤に直すより、出来ている部分に花マルを書いてあげると、子どもも褒められた喜びのほうが心に残り、悪い部分も改善しようと前向きになることができるんです」
ぜひ、発想の転換でお子さんのやる気をうまく引き出してあげましょう!
(構成・文/横田裕美子)