「自由のびのび子育て」のメリットと注意点

第2回 子育ての“自由のびのび”と“放任放置”の境界線
“わが子を自由にのびのび育てたい!” 子どもの意思をできる限り尊重し、自立心や可能性を広げる子育てが注目される現代。しかし、“自由のびのび型”の子育ても、親がしっかり真意を理解し、メリットと注意点を理解していないと危険性もあるという。そこで、子育て本作家の立石美津子さんにお話しを伺いました。

●“自由のびのび型”子育ては、親子の覚悟が必要

「“自由のびのび型”の子育ては、子どもの意思を尊重することで、自立心を養い、可能性を広げ、自分らしさ、個性を伸ばせる…などのメリットがあります。さらに、子どもにあれこれ干渉しないので、一見すると“楽な子育て”のように思えます。しかし、それが大きな落とし穴なのです」(立石さん 以下同)

つまり、“自由にのびのびさせられる条件”がポイントだという。

「自由のびのび子育てとは、道徳心があり、良心があり、誰も監視しなくても、自らの内なる心に従えることなのです。つまり、前提として、自己をコントロールできる術が身についているからこその自由なのです。それが身についていなければ、ただの放置放任となってしまい、自制心がなく、欲求をコントロールできない成人になってしまう危険性があることも、しっかり認識していないといけません」

「自由のびのび子育て」のメリットと注意点

さらに、親子共々かなりの覚悟が必要で、決して楽な方法ではないという。

「実は、自由にさせることは、手取り足とり親が指示を出す過保護・過干渉の教育よりも、親は何十倍も労力や精神力が必要となるのです。なぜなら、子どもは何を考え、どう行動したらいいのか…子どもを信頼し手や口を出さずにじっと観察し、見守っていなければいけないからです。子どもの失敗を見て心を痛めることも多いでしょう。しかし、どんなに子どもの行動に不安を覚えても、親はじっと我慢しなくてはなりません。例えば、着る服ひとつ選ぶのも、子どもの意思を尊重すれば時間がかかります。親が“これ着なさい”と指示したほうが早いですし、親の思い通りにはなるのですから」

●自分の子をよく理解し、合った子育て方針を選ぼう!

“自由のびのび型”の子育てを実践する際は、しっかり自分のお子さんの成熟度や性格などを把握して判断することが大事だと、立石さんは話します。

「親御さんの方針もさまざまですし、お子さんの性格で向き不向きもあります。自由のびのび型のメリットに惹かれて安易に教育方針を掲げ、結果的にお子さんを放任放置するようなことだけは絶対にしないように気をつけましょう! 」

親が子を思う気持ちは皆同じ。大事なことは、わが子をしっかり理解し、お子さんに合った教育方針で可能性を広げ、才能を伸ばしてやることですね。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

立石 美津子
立石 美津子
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。