●ママの赤ちゃん言葉で、子の行為が悪化することも
子どもに注意するときによくやりがちなのが、幼児期の子どもにもつい言ってしまう赤ちゃん言葉だ。この口調は、子どもにどう受け取られるのか?
「2歳前後の子どもが興奮して、つい親の手を噛んでしまったり、遊んでいるうちにバシバシ強く叩いてしまうこともあるでしょう。こんな時『痛〜い』『やったなぁ〜』とふざけた口調で返したり、『お母さん、痛い、痛いだよ。エーンエーン』と泣きまねをしたりするお母さんをよく見かけますが、これでは子どもは理解できません。確かに愛情あふれる対応ですが、この注意のしかたでは、子どもは自分が親を困らせているとは理解できず『噛むとお母さんは喜ぶんだ』『叩いたら遊んでくれるんだ』と勘違いして、その行動をどんどん繰り返してしまいます」(植松氏 以下同)
もっとストレートに「噛んではダメ」「叩いてはダメ」と言った方が子どもにはそれがいけないことだと理解できる。小さいうちからバシッと言うべきなのだ。また子どもは、8歳ぐらいから、親を試すようなことを言い始めるという。
「もし、わが子が自分の命を粗末に扱うような話をし出したら『そんなことを言っちゃダメ!』とはっきり伝え、その上で『あなたがそんなことをしたら、お母さん悲しいよ』と、しっかり親の気持ちを伝えないといけません。親が日々、素直な気持ちを伝えていかないと、子どもも言いたいことを言えずにすべて飲み込んで“NO!”が言えない子どもになってしまうかもしれません」
● 思春期に取り返しがつかないことになるケースも…
最近は、中学生でもお小遣いをあげず、必要なものを聞いて、その度お金を渡す家庭がある。だが植松氏によれば、これはあまり好ましくないやり方だそう。
「高校2年生になってもお小遣いをあげていないご家庭がありましたが、それでは自主性が育ちません。お金は練習させないといけないもの。一生懸命貯金して大きなものを買う楽しさが発展し、ゆくゆくは働こうという気にもなります。もし親からいくらでも引き出せると勘違いしていたら、自立する機会すら失われてしまう。もしも小学生になってもまだお小遣いをあげていないなら、今すぐに年齢にあったお金をあげるように切り替えるべきです」
夜の外出についても、親は必ず管理するべきだと植松氏は語る。
「“どこに行くの? 誰と行くの? 何時までに帰ってきなさい!”そう話すはもちろんですが、家のなかに必ず、お子様の居場所を作ってあげて欲しいですね。中学生になると、部活と塾でクタクタになって帰って来ることもあるので、最低限、きちんとしたご飯とお風呂だけは用意してあげて下さい」
中学になると、親もつい油断しがちだが、過保護にならず、突き放しもせず、家に居場所をきちんと作ってあげることが必要なのかもしれない。
(取材・文/谷亜ヒロコ)