気づいたら貯金が底を尽きていて…
後日、大学で学んだ経営学を駆使し、「どんなサービスを立ち上げるべきか……」「いや、とにかくまずは資金集めだな」などとブツブツ言いながら考え込む夫。その言葉を横で聞いていた私は、自営業で収入を得る難しさを夫はきちんと理解しているのだろうか? と心配になり、つい口を出してしまいました。
そんなことが何回かあり、夫と軽い口論になることも何度かありながらも、夫の両親が開業資金を援助してくれることに。夫はその資金を使い、晴れて清掃業の会社を立ち上げました。
しかし、家事をまったくしたことのない夫に清掃業が務まるわけもなく……。普段から家事をこなしている私も協力し、「初めてのお客様は通常価格の半額!」と書いたチラシを作るなど、2人で思考を凝らして会社の知名度を上げるところからスタートしました。
とはいえ、なかなか顧客を掴むのは容易ではありません。そんななか、あるお客さんから「墓石の名前に塗装はできる?」と聞かれ、ものは試しだと思い挑戦してみることに!お金の手持ちがないとのことだったのですが、初めてのお客様だったこともあり、受けることにしたのです。しかし……その仕事でいただいた収入はお米2キロのみ。
その後も、夫の事業は軌道に乗らず……。しばらく経ったあと、気づけば夫婦の貯金が底をつく事態になってしまったのです。私は自営業とアルバイトを掛け持ちして生活を支え、夫を説得し再就職してもらうことになりました。
現在、夫は会社員として立派に勤めていて、結婚生活でお金で困ることがないよう、努力してくれています。結果は失敗となってしまいましたが、夢を追いかける夫の姿を1番近くで見れ、失敗しても夫婦で協力し立ち直ることができたことが、いい経験になったと思っています。2人の将来のためにいつも努力してくれる夫には、心から感謝しています。
著者/月野 結
イラスト/おみき
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