【SDGs A to Z: C (Children) 】坂本美雨さん&娘・なまこちゃんと地球や社会を大事にする方法を絵本と一緒に考える。 (前編)

子どもにも、大人にも、読む人に新しい世界や想像する楽しさを教えてくれる絵本。今回、SDGsが目指す17のゴールと密接につながる作品から何を考えることができるのか、坂本さん親子と話してみました。

17のゴールについてのおさらいはこちら

坂本美雨 ミュージシャン

さかもと・みう/1997年「Ryuichi Sakamoto featuring Sister M」名義で歌手デビュー。昨年、デビュー25周年を迎え、シングル「かぞくのうた(feat. Hiroko Sebu)」(DREAMUSIC)をリリースした。

娘・なまこちゃん(愛称)

現在、小学校2年生。外遊びが大好き。美雨さんによる子育てエッセイ集『ただ、一緒に生きている』(光文社)では、なまこちゃんの誕生から6年間の日々を知ることができる。

【GOAL 5】『 せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子 』 作/キース・ネグレー 訳/石井睦美


の自由な選択の権利を訴えたメアリー・エドワーズ・ウォーカーの自伝的絵本。すべての人が「私が着たいものを選んで着られる」という世の中を実現したい。
光村教育図書/1,650円
Copyright © 2019 by Keith Negley


『せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子』より。「男の子の服を着てる」と言われてもきっぱり反論するメアリー。
Copyright © 2019 by Keith Negley

絵本の主人公が自分みたい!(なまこちゃん)

ー最初の絵本は『せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子』です。これはゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」を考えるきっかけになれば、と選んだ一冊です。

坂本美雨(以下、美雨):この絵本は娘がとても気に入ったようです。

なまこちゃん(以下、なまこ):うん。この女の子と自分がそっくりだなって思ったんだよね。

美雨:なまこちゃんはこういう感じだよね。ズボンじゃないと大変なくらい毎日飛び回っているから。

なまこ:絵本の中でもそういうシーンがあるでしょ。女の子がきゅうくつなドレスを着なさいって言われて、でも、ズボンを自分で選んではくの。それで跳ねたり、でんぐり返ししたりできるようになった。そのシーンが楽しそうで、すごく好き!

美雨:主人公が「わたしは わたしの ふくを きているのよ!」と言う場面でハッとしました。わたしたちも無意識に「これは男の子っぽい」「女の子はこういう服が好き」と決めつけてしまいがち。そうじゃなくて、彼女は彼女が選びたいものを選んでいいんだって。親の趣味嗜好を押し付けたくないし、仕事も生き方も、自由に選択してほしい。

なまこ:これって、昔のおはなし?

美雨:そんなに昔のことじゃないんだよ。でも、今は女の子が自由にズボンをはける世の中にだんだんなってきたよね? 同じように男の子だってスカートをはいてもいいし、マニキュアしたっていい。みんながいろんな「わたしらしさ」を表現できるようになったらいいよね。

【GOAL 7】『 ちきゅうの ための 1じかん 』 作/ナネット・へファーナン 絵/バオ・ルー 訳/おがわひとみ


オーストラリアで、中国で、エジプトで、パリで、南極でも。世界中が同じ時刻に明かりを消す「アースアワー」について。電気エネルギーについて考え、地球に住む一人として行動する意義を知る。
評論社/1,540円


『ちきゅうの ための 1じかん』より。明かりが消されたオペラ・ハウスや万里の長城。世界がひとつになりアクションを起こす。

絵本を読み終わったあと暗闇の中でお話を。(美雨)

ーつぎは『ちきゅうの ための 1じかん』。ゴール7にもあるエネルギー問題についての絵本です。

なまこ:「あかりをけそう! アースアワー」って書いてあるね。アースアワーってなんだろう?

美雨:1年に1回、午後8時30分になったら明かりを世界中で消していくっていうイベントだよ。世界中のいろんなところでライトアップも全部、消されるんだって。絵本の中では、オペラ・ハウスとかエッフェル塔、ピラミッドやスフィンクスが真っ暗になっているね。

なまこ:なんで消すの?

美雨:電気の大切さを知ることができるからかな。ママがキャンドルナイトライブに出るじゃない?

なまこ:うん。

美雨:あれも電気の明かりじゃなくて、キャンドルの明かりでステージをするでしょう。電気を節約することは地球のためにいいことなんだよ。

なまこ:えー!そうなんだ。それなら家でもやってみようよ。

美雨:そうだね。絵本を読んだあと、まず家で試してみるといいかも。電気は人間の生活から切り離せないもの。だから使う以上はどうやって作られたエネルギーなのかも考えないといけないと思っています。その問題を子どもたちに押し付けるのではなく、絵本で語られているように、暗闇の中で星を眺めたり、ろうそくに火を灯して過ごしながら話をすることができたらいいなと思いました。

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