要注意!「浮気防止アプリ」は無許可で入れたら違法?

第14回 インターネットメディア「STANDBY」
何よりもまず、相手に疑われる行動をしないことが一番! 浮気調査でなくとも、相手の携帯電話を許可なく見ることは避けるべきだろう  写真:さわだ ゆたか / PIXTA(ピクスタ)
何よりもまず、相手に疑われる行動をしないことが一番! 浮気調査でなくとも、相手の携帯電話を許可なく見ることは避けるべきだろう 写真:さわだ ゆたか / PIXTA(ピクスタ)

テレビの企画でも取り上げられ、一時期流行した「浮気防止アプリ」。もともとは盗難防止や紛失時などの対策用に開発されたもので、位置情報や写真、メールなどスマホ内のデータを別の端末でも確認可能にするものだ。これを相手のスマホにダウンロードして浮気防止や調査のために用いる、という使い方だが、いくら配偶者や恋人とはいえ、他人の位置情報などを勝手に得ることは違法にならないのだろうか? そこで、アディーレ法律事務所の大西祐生弁護士に「浮気防止アプリ」について聞いてみた。

「まず、それらのアプリが違法かどうかは、民事・刑事の両方の観点から考える必要があります。民事上の観点では、たとえ配偶者であっても個人の権利・利益は保護されるため、同意なくアプリをダウンロードすることはプライバシー権を侵害するものとして不法行為が成立し、違法と判断されます。もちろん、配偶者の同意なく携帯電話の中身をチェックすることも、プライバシー権の侵害にあたるため違法となります。また、刑事上の観点からも『不正指令電磁的記録作成等の犯罪』(刑法168条の2、同条の3)が成立することになると思われます。つまり、本人に無断で遠隔操作したり、位置情報を取得する意図でダウンロードしたりする場合には、『不正な指令を与える電磁的記録』に該当しうることになります」(大西さん、以下同)

「浮気防止アプリ」が問題なのではなく、相手の同意なくダウンロードを行ってしまうことが「違法」に該当するようだ。では、相手の同意があれば違法にはならない?

「不正指令電磁的記録作成等の犯罪は、『正当な理由がないのに』という要件があります。たとえば配偶者の同意がある場合や、配偶者が認知症などの重病であって本人の同意をとれる状況にないため、アプリをダウンロードする必要性がある場合には違法とならず、『正当な理由がない』という要件にも該当しないので、犯罪とはなりません」

では、相手の素行に不審な点があったため、「浮気調査として内緒でダウンロードした」という事例なら、「正当な理由」として扱われるのでは?

「民事上では、浮気調査目的であってもプライバシー権侵害になるため、原則は違法です。刑事上でも、たとえ浮気調査目的であったとしても、犯罪が成立する余地はあります。実際、妻の申告によって夫が逮捕された事例もあります」

恋人・夫婦であっても、相手の“同意なく”ダウンロードすることや携帯電話をチェックすることは、違法となってしまう。実際に相手が「浮気をしているかも?」と疑う状況になったとしても、安易に「浮気防止アプリ」に頼るのは避けた方がよさそうだ。

(村山 伸/H14)

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世の中を切り取るインターネットメディア「STANDBY」が配信する記事です。
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