スマホユーザーを襲う「ドケルバン病」とは?

第47回 インターネットメディア「STANDBY」
ドケルバン病が発症するのは手首の親指側の部分で、上の写真でいえば曲げている場所。ひどくなると腫れることも。ちなみにドケルバンとは病気を発見した医師の名前なのだそう
ドケルバン病が発症するのは手首の親指側の部分で、上の写真でいえば曲げている場所。ひどくなると腫れることも。ちなみにドケルバンとは病気を発見した医師の名前なのだそう

「ドケルバン病」。異様に迫力のある名前のこの病気、聞くところによると、親指を動かすと親指と同じ側の手首が痛くなる、という症状だそう。その原因になりやすいのがスマホの使い過ぎだという。

「ドケルバン病は『腱鞘炎』の一種です。指などの末端の部分を動かす『腱』という組織がありますが、その腱をぐるりと囲むトンネルのような組織が『腱鞘』。ドケルバン病は、親指側の手首の腱鞘炎を指します。使いすぎなどで腱鞘が炎症を起こして腫れ、親指を伸ばしたり、広げたりする時に、腱がスムーズに通らなくなり、さらなる炎症を起こすのです」と教えてくれたのは、手の病気を専門とする「手の外科」がある、四谷メディカルキューブの医師・平良貴志先生。

原因は主に3つ。スマホやパソコン、スポーツなどでの親指の使いすぎ、もともと腱鞘が狭いなどの生まれつきの特徴、(女性の場合は)ホルモンバランスの変動などの影響が考えられ、これらが複合的に組み合わさることで発症するそう。腱鞘が腫れて肥大化し、指を動かすたびに腱の動きを圧迫、痛みが起こるという。

「痛みがひどくなると親指が動かせなくなり、結果、親指の可動域が小さくなることも。症状が軽い場合は、アイシングや、消炎鎮痛薬、湿布薬の利用で対処します。重度な場合は炎症を抑えるステロイド注射、それでも再発する場合は、腱鞘を切開して腱の通り道を広げる手術を勧めています。ただし、最も大切なのは親指に負担をかけないことです」

平良先生によれば、同じ炎症でも捻挫の場合はギプスなどで固定することを受け入れる人が多いが、ドケルバン病の患者は不便を感じ、親指を固定するための装具をつけない人も多いのだとか。よく使う指だけに、気持ちはわからなくもないけれど…。

「特に男性の場合、スマホの操作の際、親指だけを使い、活発に動かすケースがよく見られます。今はスマホ使用が原因のドケルバン病の患者さんは多くありませんが、今後増える可能性は高いと思います」

内閣府消費動向調査によれば、スマホの普及率は54.7%(2014年3月実施)。ドケルバン病は誰がなってもおかしくない。もし症状を感じたら、まずはスマホの操作は親指だけでなく両手で行い、親指への負担を減らすようにしよう。
(佐藤太志/GRINGO&Co.)

四谷メディカルキューブ

配信元

STANDBY
STANDBY
世の中を切り取るインターネットメディア「STANDBY」が配信する記事です。
世の中を切り取るインターネットメディア「STANDBY」が配信する記事です。