●夫依存症チェックリスト
「夫依存症に陥る根本原因は、“寂しさ、苦しさ、不安感”という感情を払拭し、その代わりとなる安心感を夫の存在だけで埋めようとすること、“こんな私は夫に愛されなくなるのでは?”という怖れが心のなかにあることが考えられます。以下の5つのうち、1つでも当てはまるようであれば、夫依存症である可能性があると思われます」(沼田氏 以下同)
1) 夫の携帯、スマホを必ずチェックせずにはいられない。
2)夫がどこで何をしているのか異常に気になる。
3)メールの返信がないと不安でしかたがない。
4)夫と常に一緒にいないと不安感に襲われる。
5)夫しか自分の理解者はいないと感じる。
「1~4は“夫から愛されていないのでは?”という不安感をどれだけ感じているかの度合いをみる質問。5の質問は愛情を夫からのみ得ようとしているかどうかを見る質問です。そもそも、“どんな私でも愛される”という感情は、子ども時代に親から十分愛され、心が満たされている場合に抱くことができる感情です。親子関係とパートナーとの心理的距離はほぼイコールである場合が多く、親子関係で愛情が十分満たされなかった人は、愛情を十分にもらうという行為をパートナーである夫だけで満たそうと思ってしまうのです。なおかつ、“こんな自分は愛されないのではないか?”という怖れが常に心のなかにあると、さらに夫への執着が生まれ、夫依存症につながることが多いと考えられます。上記のチェックリストで当てはまる項目が多い妻は、注意が必要と言えます」
●夫依存症で起きる弊害とは?
それでは、妻が夫依存症に陥ることで起こる弊害はあるのだろうか?
「夫の自由を奪い、常に動向をコントロールしようとするわけですから、夫側は次第に、窮屈さや束縛感を感じる状態になります。過度に束縛されると、負荷(自由を奪われていると感じるストレス)の大きさに比例して反発(自由になりたいと思う衝動)が大きくなり、妻と心理的、物理的に距離を置こうとするようになるかもしれません」
愛情表現することと依存症の違いはどこにあるのだろうか。
「愛情表現は“あなたを愛していますよ!”と伝える行為。“相手をどう愛そうか? どう幸せな気分にしてあげようか?”といった“与える行為”を行うこと。一方の依存症は、“あなたの愛で私の寂しさを埋めてほしい”“愛されなくなったらどうしよう? もっともっと愛して。もっとあなたの愛で安心させて”といった“夫の愛情を奪う行為”なので、両者は対極にあるとも言えます」
束縛=愛情表現と考えるのは絶対にNG。束縛は愛情表現の真逆であることを知っておこう! いくら夫を束縛したところで、疲弊した夫側から離れていってしまうのでは、まったくもって意味がない。この悪循環を心に留めておくだけで、夫への日々の接し方も変わるのではないだろうか。
(取材・文/吉富慶子)