ケヴィン・スペイシー、性的暴行裁判で「無罪」判決――『ハウス・オブ・カード』復帰の可能性は?


無罪評決を勝ち取ったが前途多難なケヴィン・スペイシー(写真/Getty Imagesより)

 イギリスの裁判所は現地時間7月26日、複数の男性から性的暴行を告発されていた俳優ケヴィン・スペイシーに対し、無罪評決を下した。

 6年前、性的暴行を受けたと告発された直後から、ケヴィンは、メディアやネットから「臆測に基づく一方的な批判」を浴び、「青年を毒牙にかける最低な男」のレッテルが貼られ、仕事も社会的地位も名誉も失った。しかし、今回無罪になったことで、世間から同情が集まり、「有罪が確定するまでは“罪を犯していない人”として扱わなければならない」「臆測でのキャンセル・カルチャーはやめよう」などと反省する声が上がっている。

 一方で、ケヴィンから性的暴行を受けたと告発した2人が自殺、1人が車にはねられ死亡していることから、「大きな闇組織の力が働いて無罪になったのでは」という陰謀説もささやかれており、ネット上はお祭り騒ぎとなっている。

 Netflixを一躍巨大エンタメ企業に押し上げた大ヒットシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』で主役を演じ、インターネットで配信されたドラマシリーズとして史上初のプライムタイムエミー賞を獲得。名実共にハリウッドの大御所俳優だった2017年に、アンソニー・ラップという俳優から「自分が14歳だった1986年に、26歳だったケヴィンに性的暴行を受けた」と訴えられたケヴィン。

 ケヴィンは「泥酔していたので記憶にない」と謝罪声明を発表し、さらに同性愛者であることをカミングアウトしたが、これが事態に拍車をかけることに。

 当時は、性犯罪の被害者が泣き寝入りせずに告発することをサポートする「#MeToo」運動が活発化していた時期だったため、被害者とされるアンソニーを応援する声が多く、LGBTQコミュニティからは「同性愛者にペドフィリア(小児性愛者)が多いようなイメージを植え付けるから、やめてほしかった」と批判され、大炎上してしまったのだ。

 ケヴィンは性的暴行などしていないと主張したが、『ハウス・オブ・カード』からは即刻クビに。受賞予定だった2017年度国際エミー賞功労賞も取り消され、マネジャーら側近からも縁を切られ、ハリウッドから追放されてしまった。

エルトン・ジョンが証人として出廷、無罪勝ち取る

 ケヴィンは一貫して「性的暴行はしていない」「同意の上での行為だった」「無理やり行為をしたことはない」と自らの無罪を訴え、アンソニーに対し損害賠償金4,000万ドル(約56億円)を求めていたアメリカの裁判では勝訴した。

 今回イギリスで行われた裁判は、 2001〜13年の間の、ロンドンにおける4人の男性に対する計9件の性的暴行容疑に関するものだったが、エルトン・ジョンがケヴィン側の証人として出廷し、原告の主張は嘘であると証言するなど、ケヴィン側に有利に展開。ケヴィンの64歳の誕生日に、イギリスの裁判でも無罪を勝ち取ったのだった。

 裁判中、たびたび泣きながら身の潔白を訴えていたケヴィンは、9つの容疑すべてにおいて無罪評決が下された瞬間、感極まり涙を流したとのこと。裁判所の外で受けた記者たちからの取材でも、「長時間かけて慎重に検討してくれた陪審員に感謝する。判決は身が引き締まる思い」と、声を詰まらせていた。

 ネット上では、「被害者の言い分を100%信じ、有罪判決が出たわけでもないのに、性犯罪を告発された人を犯罪者扱いする世間の風潮を変えなければいけない」という声が高まっており、ケヴィンには同情が集まっている。

 だが、その一方で、彼から性的暴行を受けたと訴えた4人のうち2人が自殺、1人が車ではねられ亡くなっていることから「何か大きな力が働いているのでは」と陰謀説もささやかれている。

 ケヴィンは18年から3年連続してYouTubeに、『ハウス・オブ・カード』で演じたフランクになりきったクリスマスメッセージ動画を投稿。19年の動画では、「自分を傷つけた人に優しくすることで気まずくさせ、気分を晴らす」という意味の「Kill them with kindness」という言葉を口にしたが、投稿した数時間後に彼を告発したノルウェー王女の元夫で作家のアリ・ベーンという男性が自殺。ネット上では、「『kill=殺せ』という言葉に反応した闇組織が、アリを自殺に見せかけて殺したに違いない!」などと騒がれた。

 ケヴィンは、 未成年の少女の性的人身売買で起訴され勾留中に自殺したジェフリー・エプスタインのプライベートジェットにも乗っていた“”顧客”だったとも伝えられている。ジェフリーの元恋人で、未成年の女性たちを斡旋したとして禁錮20年に処されたギレーヌ・マクスウェルとは仲の良い友人だったといううわさもあり、ケヴィンは裏の巨大な闇組織とつながっており、しかも組織内での地位が高く、守られているに違いないという陰謀説がまことしやかに流れているのだ。

ケヴィン・スペイシーの復帰は難しいのか?

 今回の裁判の結果を受け、ケヴィンは俳優業に復帰したいとの意欲を見せている。しかし、 メディア側の論調は、厳しいものが多い。

 米ゴシップ誌「Page Six」は、ハリウッドへの復帰は実に難しいと報道。ハリウッドは性犯罪疑惑を持たれた人物を簡単には許さない、ウディ・アレンやロマン・ポランスキーのようにヨーロッパで活躍することはできるだろうが、「火のないところに煙は立たぬ」と考えるアメリカで復活することは無理だろうという見解を示した。

 実はケヴィン。昨年、ロサンゼルスの最高裁判所から、『ハウス・オブ・カード』の制作会社に3,100万ドル(約43億円)の損害賠償を支払うよう命じられている。

 裁判では「調査の結果、撮影現場でケヴィンが若い男性スタッフにセクハラ行為を行っていたことが判明した」「これは契約違反だ」などとする、同社の主張が認められたのだ。こうした判決を踏まえ、今後ケヴィンを起用するプロダクションはないだろうともみられている。

 ネット上では、「無罪になったのだから、『ハウス・オブ・カード』に復帰して、最終シーズンを撮り直してほしい」といったファンの声がとても多いが、可能性は限りなくゼロに近いだろう。

 6年にわたり、身の潔白を訴え続けてきたケヴィン。アメリカでもイギリスでも無罪にはなったものの、俳優としての前途は相当厳しいだろうとみられている。

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サイゾーウーマン
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