小学生の男女交際というと、せいぜい「両想いになる」こと程度かと思いきや、なかには「一緒に映画に行った」とか「ファミレスに行った」なんて話も…。
今の小学生の男女交際ってそんなに進んでいるの? 昭和女子大学大学院心理学教授で臨床心理士の山﨑洋史先生に聞いた。
「小学5~6年生にインタビューした際、4割くらいの子が『付き合っている』と回答したことがあります。それを聞くと、お父さんやお母さんはビックリしますが、大人の考える『男女交際』と子どもの実態とには、雲泥の差があるんですよ」(山﨑先生 以下同)
「男女交際」というと、大人のイメージでは「1対1の付き合い」で、「相手のことを大切にしたい、自分だけのものにしたいと考え、将来への戦略・作戦まで続くもの」と考えがち。だが、子どもたちが使う言葉の裏側にはまったく違うイメージがあるそうだ。
●女子が告る→1対1→グループデートという流れ
「小学生が『付き合う』と言う場合は、まず女の子が『告る』パターンがほとんど。男の子は精神的発達が遅いため、何人かいる好きな子のなかのひとりであったとしても、好きだと言われるとうれしくなり、『はい』と答えます。これが『付き合う』なんです」
あれ? でも、それって、昔から変わらない小学生の「両想い=付き合っている」のパターンでは?
「そうですね。男女交際の仕方が変わったのではなく、かつてあった言葉を別の言葉にして繰り返している部分はあると思います」
また、小学生の男女交際の場合、付き合いの順序も大人のイメージと大きく異なるそう。
「付き合うようになると、消しゴムの貸し借りをしたり、そのうちにデートしてみたくなったりします。でも、小学生の男女交際では、二人だけだと話がもたないことがほとんど。相手の気持ちがわかると、優しさが出てきて会話も弾むようになりますが、それは思春期になって徐々にわかるもので、発達的に仕方ないのです」
そのため、間がもたない小学生同士の男女交際では、「1対1」から「グループデート」に変わり、結局グループデートにおいても「男同士」「女同士」で話す・遊ぶことになっていくことが多いそう。
特に思春期前は、意外にも微笑ましいケースが多い「小学生の男女交際」の実態。大人の視点で見て、大人の基準で判断するのではなく、関心を持って見守ってあげたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)