昭和女子大学大学院心理学教授の山﨑洋史先生は次のように話す。
「子どもが思春期になる前は、男女交際といっても微笑ましいものですので、子どもの話をいろいろ聞いてあげること。恋愛話もひとつのコミュニケーションの入り口にして、幼いうちに、『困ったときには助けてくれるお母さん』という関係性を作っておくと良いでしょう」(山﨑先生 以下同)
しかし、そうしたかわいい男女交際が思春期になると変わってくるという。
「もちろん個人差はありますが、思春期になると、一気に大人の男女交際に変わることがあります。また、思春期前後は心が激しく揺れ動き、親に言えないことがでてきたり、性の問題が出てきたりします」
小学生の男女交際の多くは微笑ましい付き合いだというが、なかには、小学生で妊娠などというケースもある。そうした場合、親は全然知らなかった、そこまでの付き合いと思わなかったということが多いそうだ。
●第二次性徴が始まったら、さりげなく性の話をしてみよう
親は子どもの変化に早く気づき、危険が少しでもあるなら、問題が起こる前に注意しておくことが大切になる。
例えば、今は学校でもSNSなどに関する指導を行っているが、男女交際において、性的な動画や画像などを撮影し、アップされるようなケースだってある。
とはいえ、「うちの子にはまだ恋愛の話は早い」と思うこともあるだろう。子どもにどんな兆候が見えたら、注意すべきだろうか。
「第二次性徴が始まった頃には、恋愛や性の話をしたほうが良いと思います。親子でするのが気まずいのなら、一般論としてテレビなど見ながら、独り言で言うのでも良いのです。まだ興味がない子は気にも留めませんし、興味がある子には自然と耳に入りますから」
実際、親に幼い頃から言われてきた温かい言葉は、子どもが大きくなってからも、何かトラブルを起こす前の歯止めになるという。
「恋愛は、『異性理解』と同時に『同性理解』、そして『他者理解』『自己理解』の場です。ひとつ上のステージにいくための大切な勉強と考え、日頃から子どもを見守り、あたたかい言葉をかけてあげましょう」
「親だから聞きづらい・話しづらい」ではなく、親だからこそ、子どもの恋愛話に興味を持ってコミュニケーションしてみては?
(田幸和歌子+ノオト)