『初婚で2人の子持ちになりました』(竹書房)はタイトルそのまま、20代の若さで継母になった女性のリアルな葛藤を描いたコミックエッセイだ。一回り年上のシングルファーザーとの交際を経て、ステップファミリー(再婚家庭)の一員となった著者のネコおやじさん(女性)に話を聞いた。
「先妻さんに病気で先立たれ、2人の幼い子を育てるしげパパ(仮名)と同棲を始めたのが2011年8月、当時の私は26歳でした。それから1年後に入籍をして、現在は結婚4年目です」(ネコおやじさん 以下同)
著書にも詳しく描かれているが、1年の同棲を経ての結婚とはいえ、“2人目の妻”で“継母”という立場になって実感したのは、くるおしいほどの葛藤や嫉妬だった。
「『夫にとっても子どもにとっても自分は2番目の存在』という変えようがない現実を、なかなか受け止めることができなかったんです。『子持ちの人を選ばなければこんなに苦しまずに済んだのに…』という気持ちがずっと消えなくて。頭でわかっていても、感情がついていきませんでした」
●先妻の影を見ては落ち込んでいた日々
お互い仕事が忙しかったため、籍を入れただけで結婚式を挙げなかったことも、その後のわだかまりとして引きずることになった。
「時間やお金に余裕がなかったので仕方なかったのですが、先妻さんはちゃんと盛大な式を挙げているのに…と、それもまた嫉妬につながってしまいましたね。それ以外にもしげパパとの行き違いはしょっちゅうありました」
しげパパさんと子どもたちが暮らしていた家に“嫁入り”したネコおやじさんにとっては、台所用品や家具など、目にするものすべてが「先妻のお古」。そのつらさを理解してほしいと、同居後はことあるごとにしげパパさんに悩みを訴えるも……。
「『愚痴を言っても解決するわけじゃないし無意味だし、俺はどうしたらいいの?』という感じで。淡々と私を諭すような言い方をするんですね。そうじゃない。『うんうん、つらい思いさせてごめん。いつもありがとう。一緒に頑張ろうな』って言ってくれるだけでよかったんです~!(笑)」
「気持ちを理解してほしい」という妻と、論理的に解決策を提示しようとする夫。ネコおやじさん夫婦に限らず、これには多くのカップルが同じ悩みにぶつかったことがあるだろう。
「これをお互いが理解するまでに相当時間がかかりましたね(笑)。男性と女性ではやはり思考が違うんだなあ、と。ただ、私が抱えていた悩みは解決策がない悩みなので、結局少しずつ乗り越えていくしかないんですよね」
自分の気持ちを素直に伝え、相手の心情も想像して歩み寄る。結局、どこの家族もそうやって粘り強いコミュニケーションを重ねていくしかないのだ。血がつながっている家族同士も、ステップファミリーの歩みから学ぶことは多いはずだ。
(阿部花恵+ノオト)