そこで、一回り年上のシングルファーザーとの交際を経て、ステップファミリーの一員となり、『初婚で2人の子持ちになりました』(竹書房)の著者のネコおやじさん(女性)に話を聞いた。
「いきなり小学生男子と保育園の女の子の母になってしまったわけですが、子どもを産んだ経験がなかったので、わが子の愛おしさというものが最初はわからなかった」(ネコおやじさん 以下同)
もともと「子どもは苦手」だったため、最初のうちは幼い兄妹とどう接していいかわからなかった。「嫌われたりウザがられたれたりしたらお終い」と思っておびえていたという。
「子どもが何か行動を起こすたびに、常に頭のなかは『こういう場合、実の親ならどうする?』と、自問自答でした。例えば、子どもが突然くっついてくる。普通の親子ならなんの違和感もないと思いますが、私にとってはいきなり自分の間合いに入られるようで違和感があったんです」
たとえるなら「近所の子がいきなりくっついてくるような感じ」だそう。だが子どもたちを傷つけたくないし、絆も深めたい。ネコおやじさんの日常は、葛藤と模索の連続だったという。
「『実の親ならこんなときどうする? どう答える?』と想像し、行動していました。でもそんな日々を続けているうちに、頻繁に体調を崩すようになって。そこでようやく自分が『頑張りすぎている』ことに気づいたんです」
「実の親ならどうする」ではなく、「私ならどうするか」でいい。作り笑顔ではなく、自然体で接していこう。そう思えるようになったことで、「親子の絆がさらに深まったというか、自然な親子の形に近づけたと思う」とネコおやじさんは言う。
●実母と同じくらいの愛情を注ぐことは無理に等しい
一昨年には一家に大きな転機が訪れた。ネコおやじさんとしげパパさんの間に子どもが生まれたのだ。ステップファミリーでは再婚で生まれた子を、双方の血をつないで家族の絆を強固にするという意味で“セメントベビー”と呼ぶ。
「セメントベビーの存在による変化が一番大きかったのは私自身。わが子ってこんなに愛おしいものなんだ、という実感をようやく持てた。と同時に、上の2人にも『本来なら母親にもっと愛されて育つものだったんだ、これまでの私の愛情なんてまだまだ足りなかったなぁ』と感じました」
その一方で、再確認した事実もある。
「継母が実の母親と同じぐらいの愛情を注ぐことは、はっきり言って無理に等しいものです。血のつながらない親子の間には、必ず葛藤が生まれるし、それが現実」
ただし、違いがあるからといって、差別が生じるという意味ではもちろんない。むしろ血のつながらない2人への思いはさらに強まったそう。
「私のやるべきことは、どんなことがあっても子どもたちを見放すことなく、責任を持って立派に育てること。3人の子を差別せず、分け隔てなく接することです。これは私が子を産んでから、気持ちを新たにしたことです」
血のつながる子と、血のつながらない子。抱く思いや距離感は必ずしも同じではなくても、絶望する必要ない。血のつながらない男と女が「夫婦」という家族になれるように、血のつながらない大人と子どももまた「親子」という家族になれるはずだ。
(阿部花恵+ノオト)