【プロが教える】おしゃれな二世帯住宅を実現する方法!実例もたっぷり使って徹底解説

【プロが教える】おしゃれな二世帯住宅を実現する方法!実例もたっぷり使って徹底解説

※本記事の家具・コーディネートなどの画像を確認したい場合は、Hello Interiorホームページにてご確認ください。

1960年以前の日本の住宅は、6人以上の世帯が最も多く、大家族一体同居が主流の時代でした。

65年以降は4人世帯が徐々に増え、核家族化がすすんだことから、ヘーベルハウスが親・子世帯の新たな住まい方として提案したのが二世帯住宅の始まりです。

その後、経済事情や家族構成などの変化に伴い、子世帯と親世帯の住宅のかたちはさまざまな変化を遂げてきました。

そして現代。細分化されすぎた家族が一緒に暮らすことで得られる安心感や、共働きを続ける子世帯へのサポート、親の老後への備えなどさまざまな側面から、二世帯住宅を検討する方が増えてきています。

そこで今回は、二世帯住宅への興味はあるけれど、どのようにプランニングしていけばよいのかわからないという方に向けて、検討する際のポイントやおしゃれな実例をご紹介します。

プロが教える!おしゃれな二世帯住宅を実現するポイント

二世帯住宅は、親世帯と子世帯、双方にメリットがあるプランニングが重要です。

まずは、二世帯住宅の特徴をおさえていきましょう。

そもそも二世帯住宅とは?

二世帯住宅は、親世帯と子世帯など2つの家族が暮らす住宅のことで「①完全分離型」「②一部共有型」「③完全同居型」の3タイプに分けることができます。

なかでも②③のような共有型は、生活リズムや価値観が、世帯によって全く異なることを認識し、間取りを決めることが大切。

設備や居室の一部を二世帯で共有するのなら、料理、洗濯といった家事や、清掃・片付けは誰が行うのか、ルールや役割分担を十分に話し合っておきましょう。

また、それぞれのプライベートスペースの確保と、音の対策も考えておきたいところ。

リビングや子ども部屋、洗面所、浴室、トイレは特に音が発生しやすい場所なので、寝室や長時間過ごす居室と離したり、隣り合う部分の壁や天井、床などに防音・遮音対策を施したりすることが大切です。

また、親世帯の居室とトイレはなるべく近づけて配置するのがおすすめ。

いつでも気兼ねなく行き来できるよう、リビングを通らなくても行き来できるような動線確保が理想です。

完全分離型

完全分離型は、玄関から水まわりまで、二世帯の居住スペースや設備を完全に分けるタイプ。

左右で分ける「縦割り型」と、上下で分ける「横割り型」があります。

縦割り型より建築費を安く抑えられることもあり、多く採用されているのが横割り型。

親世帯を全室バリアフリーにするなら、こちらがおすすめです。

水まわり位置を1階と2階で同じ場所に配置するなど、階下への音漏れ対策はしっかりと。

一部共有(部分共有)型

世帯別に過ごすスペースは確保しつつ、一部の居室や設備を共有するタイプ。

共有場所は、玄関、キッチン、浴室、洗面所などが挙げられます。

【浴室共有型の間取り例】

水・光熱費を二世帯でまとめると、互いの水や電気の使い方が気になり、トラブルのもととなりやすいので、世帯別に分けたり、支払いの割合をあらかじめ決めたりするなどの配慮が必要です。

完全同居(完全共有)型

一つの住宅を二世帯で完全に共有(寝室は除く)するタイプで、将来的に一世帯となった場合に対応しやすいのが特徴。

【完全同居型(平屋)の間取り例】

単純な同居型とは異なり、両世帯が互いに生活リズムを崩さず、ストレスを抱えにくくなるような間取りや設備がより一層求められます。

プライバシーが確保しづらく、互いの生活音が気になりやすいので、家族それぞれが一人になれるスペース(家事室やテラス、ロフトなど)をなるべく確保したいもの。

おしゃれな二世帯住宅を実現する方法

【明るいカラートーンでまとめた親世帯の居住スペース】

二世帯住宅であっても、親世帯と子世帯の空間全てを同じ素材や色で統一する必要はありません。

上下の画像は、壁はいずれも白系色ですが、各世帯の個性を活かしてそれぞれおしゃれにコーディネートした例。

親世帯(上)はライトベージュの畳や白木調の神棚を配して、ナチュラルで明るい印象に。

対して、子世帯(下)は、濃色系のフローリング&アクセントウォールを選び、シックで落ち着いた印象に仕上げています。

【シックなダークカラートーンでまとめた子世帯の居室】

このように、親世帯の居住スペースや両世帯の共有空間は、天井や壁が暗くなりすぎないよう、明るい色や反射率が高い内装材がおすすめ。

加齢とともに視認性が下がり、必要照度も変わるので、光源が直接目に入らないような照明選び&お部屋全体を均一に照らす全般照明などにも配慮したいもの。

おしゃれな二世帯住宅 外観編

【平屋と二階建てをミックスした住宅例】

親世帯は平屋、子世帯は二階建てと、各世代で建物の高さを変えた例。

外観は白系色で統一したほか、屋根デザインに共通性を持たせることで一体感を演出しています。

【玄関ドアを離して設置したエントランス例】

玄関ドアを隣接させず、少し離して設置した例。

各世帯のプライバシー性を高めるだけでなく、よくある二世帯住宅のイメージとは一線を画すおしゃれな印象に。

おしゃれな二世帯住宅 内装・間取り編

【畳スペースを設けたリビングの例】

両世帯が共有するリビングの一角に、落ち着いた色合いの畳を設置した例。

椅子に座ったり、畳で寛いだりと、お部屋での過ごし方を自由に選ぶことができます。

【大容量の収納を設けた共有玄関】

玄関を共有する場合は、それぞれの世帯専用スペースを設けるなど、棲み分けをしておくのがおすすめ。

親世帯が靴を脱ぎ履きしやすいよう、腰掛けスペースがあると使い勝手がUP。

【脱衣場と洗面を分けた共有UBの例】

水まわりを共有する場合は、脱衣所側が丸見えにならないような工夫を。

収納スペースは、世帯毎に分けると整理整頓しやすくなります。

【敷地中央に中庭を設置した回廊型間取りの例】

両世帯が集えるスペースとして、庭やテラスを活用するのも素敵。

セカンドリビングや趣味を楽しむ場所など、多目的に使うことができます。

後悔したくない!気になる情報も事前に検討しておきましょう

二世帯住宅に必要な広さ、部屋数は?

二世帯住宅に必要な平均坪数は約30坪(100㎡)といわれていますが、家族の人数や住宅タイプによって変わります。

「完全分離型」と「一部共有型」の場合、間取り係数(家のゆとり度合いを表す数値)をもとに算出すると下記のとおり。

坪数の目安=畳数×間取り係数(1.6~1.8)÷2

【必要部屋数と坪数の目安】

完全分離型
①LDK(約12畳)×2世帯
②寝室(約8畳)×2世帯
③その他ランドリールームなど(約3畳)×2世帯
④子ども部屋・和室など(約7畳)×2世帯

(30畳×2世帯)×間取り係数(1.6~1.8)÷2=「48~54坪」が、必要な坪数の目安となります。

一部共有型
①子世帯LDK(約12畳)※共有
②親世帯リビング(約8畳)
③寝室(約8畳)×2世帯
④その他ランドリールームなど(約3畳)※共有
⑤子ども部屋(約7畳)

46畳×間取り係数(1.6~1.8)÷2=「36.8~41.4坪」が、必要な坪数の目安。

※キッチンを親世帯、子世帯で分ける場合は、キッチンの畳数をさらに広くする必要があります。

二世帯住宅の費用相場は?補助金はある?

二世帯住宅の費用相場は、土地購入の有無や場所、地域や家の仕様、住宅会社などによって変わります。

木造住宅の場合、1坪(3.306㎡)約57万円で、30坪=約1,710万円がひとつの目安。
(完全分離型は、さらに設備費用が上がります)

設備仕様でみた場合は、単世帯住宅と比べて下記の費用がひとつの目安に。

【完全同居型】
2階に「トイレ」を設置した場合、単世帯住宅の費用+30~40万円前後

【一部共有型】
世帯毎に「トイレ」や「キッチン」を設置した場合、単世帯住宅の費用+250~300万円前後

【完全分離型】
世帯毎に「玄関・玄関収納」「キッチン」「洗面スペース」「浴室」などを設置した場合、単世帯住宅の費用+2,000~2,300万円前後

なお、補助金や減税制度を活用することで、建築費用を抑えることができます(補助金の併用は不可)。

地域によって各自治体による独自の補助金制度が設けられていることがあるので、お住まいの地域や自治体に問い合わせてみましょう。

●地域型住宅グリーン化事業

省エネルギー性能や耐久性に優れた新築の木造住宅に適用される制度。

【主な要件】
地域木材を積極的に採用し、住宅の主要構造部が木造であること
定められた省エネ基準を満たすこと
国に認定された中小住宅生産者で建てられた住宅であること

【補助金額】
長期優良住宅 上限140万円
ZEH     上限150万円など
※加算額あり

●ZEH化等支援事業

太陽光発電などでエネルギーをつくり、建物の断熱性能を高めるなど、基準を満たした新築のZEH住宅に対して適用される制度。

さらに性能が良いZEH+と認定されると、100万円の補助金が得られますので、

【主な要件】
登録されたZEHビルダーやプランナーが設計施工を行うこと

【補助金額】
ZEH 55万円
ZEH+、次世代ZEH+ 100万円など
※追加補助額あり

こんなケースに気をつけろ!失敗しがちなパターン紹介

【メインキッチン以外にサブキッチンを設置した例】

共有型の場合、水まわり(特にキッチン)を共有するのは、可能な限り避けたほうがベター。

食器の洗い方や収納、掃除の仕方は世帯によって異なるので、メインキッチン以外に、サブキッチンの設置を積極的に検討しましょう。

洗面台や浴室も同様、清掃や片付け方法などで、世帯間で考え方に違いが出やすい設備といえます。

住宅のプロは知っている。二世帯住宅を検討するときに、問合せて見てほしい工務店・住宅メーカー

【鉄骨造住宅のパルフェ・隣居Style:セキスイハイム】

鉄骨造、木造いずれの構造躯体も手掛ける「セキスイハイム」は、ユニット工法を採用している会社。

部材の大半を工場で生産しているため、鉄骨ではトップクラスとなる「施工・品質の安定性」と「構造躯体の強度」が強みです。

【木質系住宅のGRAND TO YOU Ⅴ:セキスイハイム】

一方、鉄骨系住宅で培ったユニット生産技術を応用したのが、木質系住宅・2×6ユニット工法の「グランツーユーV」。

こちらも施工者によって仕上がりにばらつきがない、精度の高い施工が約束されています。

鉄骨造、木造いずれにも対応しているので、構造躯体別のメリットやデメリットを知りたい方にもおすすめ。

おしゃれな二世帯住宅実例15選!みんなが暮らしやすい工夫をご紹介

ここからは「外観編」と「内装編」別に、二世帯住宅の参考事例をピックアップ。

両世帯とも居心地良く過ごせる工夫が満載です。

おしゃれな二世帯住宅×外観編 5

斜めの壁面の隙間に玄関を配置

1階は親世帯、2階は子世帯の、木造2階スキップフロアの家(敷地面積101㎡、延床面積86㎡)。

外観は真っ白なオウチ型とし、道路面の窓は少なめに。

斜めの壁との隙間には、ガラス入り欄間窓を配した玄関ドアを設置しています。

生活感を程よく隠した薄膜のファサード

木造一部RC造、地下1・2階の二世帯住宅(敷地面積約75㎡、延床面積約96㎡)です。

外壁の表面に、3㎜程度となる半透明の薄膜を施し、建物を程よく目隠し。

内部の様子が見えすぎることもなく、強い日差しを和らげる効果も期待できます。

木格子から漏れる柔らかな光

玄関を共用した、木造3階建(敷地面積約159㎡、延床面積約180㎡)の家です。

建物は道路面から5m程度セットバックして、道路から見えない位置に3階部分を配置。

前面道路側の外壁には木格子を設け、外部に対してのプライベートもしっかり確保しています。

十分な採光を確保するはめ殺しのガラス窓

木造住宅が密集する都心に立つ、延床面積83㎡の二世帯住宅です。

建物の上部は、はめ殺しガラス仕様とし、お部屋の隅々まで十分な採光を確保。

真っ白な暖簾をかけた、アール開口の玄関が印象的ですね。

各世帯で高さの異なる屋根を曲線状に繋ぐ

建築面積約167㎡、延床面積197㎡の2階建木造住宅。

親世帯(平屋)、子世帯(2階建)と、各世帯で屋根の高さが異なるため、屋根と外壁はガルバリウム鋼板を用いてシームレスに繋げています。

真っ白な壁や吹き抜けで開放感を演出

グランドピアノを1階に配した、3階建て住宅(敷地面積約64㎡、延床面積約92㎡)です。

なだらかな曲線を取り入れた外観が、アーティスティックでおしゃれ。

真っ白な壁や吹き抜けを設けることで、狭小地とは感じさせない開放感を演出しています。

おしゃれな二世帯住宅×内装編 10選

光庭が世帯間の適度な距離感を生む

間口6m、奥行22mと、東西に細長い敷地に建つ二世帯住宅。

光庭として設置したテラスが、世帯間の適度な距離感を生み出します。

建物内部はコンクリート打ち放して仕上げて、スタイリッシュな印象に。

将来的なプラン変更にも対応できる間取り

敷地に面する2面道路の双方から、斜めに角度をつけて設計した木造2階建て住宅(延床面積約146㎡)。

敷地内にいくつも生まれた三角形の余白から、光がやわらかに差し込みます。

共用スペースや執務室を犬や猫も寛げる場所に

父、娘夫婦、犬1匹、猫3匹が住まう木造地上2階建て住宅(敷地面積約273㎡、延床面積約105㎡)です。

建物は、コートハウス型の低層下屋の中央に2階建ての箱を挿入したような形。

1階はLDK、2階は在宅ワーク&来客時はゲストルームにもなる多目的スペースを設置。

これらをつなぐ吹き抜けの壁面には、キャットウォークとなる多くの箱が設けられています。

両世帯が自由に使える屋外スペース

約50坪の敷地に、1階は親世帯、2階は子世帯を設けた総2階の住宅です。

こちらはロフトより見下ろした子世帯のLDKで、ベランダ下に二台分の駐車スペースを確保。

1階、2階とも、それぞれの世帯が自由に使える屋外スペースを確保しています。

多目的に使えるスカイパティオ

35坪の敷地を、親世帯(約20坪の旗竿地)と子世帯(約15坪の長方形の土地)で区切った住宅です。

ガラス越しに愛車を眺めることができる子世帯の玄関は、高級感あるタイル貼り仕様。

子世帯の最上階にあるスカイパティオ。

バーベキューや子どもの遊び場、ゴルフの素振りスペースなど、家族のプライベートスペースとして活用方はさまざま。

ホームエレベーターを設けて親世帯を3階に

ホームエレベーターを設けて親世帯を3階、子世帯を1~2階にした木造3階建の家(建築面積約75㎡、延床面積約196㎡)。

洗面室(画像左)奥に物干しテラスを設置し、テラスから3階の親世帯の様子がわかるような配慮がされています。

収納付き小上がりがある、親世帯(3階)のダイニングキッチン。

引き戸で間仕切れば、ゲストルームとして使うこともできます。

「家族の集い」に配慮した同居型住宅

「家族が集う場所」がコンセプトの同居型住宅(敷地面積約69坪、延床面積約54坪)。

TVボードとつながる団らん用リビングベンチや、趣味を楽しむシアター空間など、二世帯の壁をなくす工夫が施されています。

2階のDKに設置した、ミニキッチン&作業用カウンター。

換気扇付きのIHコンロまで備えているので、簡単な調理なら十分に対応できます。

三世帯が中庭を介して気配を感じる家

三方を隣家に囲まれた、地上3階建ての三世帯住宅(敷地面積約70㎡、延床面積約139㎡)。

お部屋の間取りは各階ともほぼ同じですが、造作の色や素材に変化をつけることで、3フロアとも異なる印象に。

採光と通風の確保用に備えた中庭を介して、それぞれの家族の気配を緩やかに感じることができます。

一人一部屋の概念を捨て、家族と空間を共有

約15坪のL字型敷地に建つ、3世代7人家族のための木造住宅(地上2階+ロフト、延床面積約84㎡)です。

LDKより1層上にある畳部屋へと昇る階段は、一般的な階段巾よりも45㎝広く取り、読書や勉強用スペースとして使うことができます。

ロフトから見下ろした1階のダイニング。

建物の中央スペースは上下ともに畳の間とし、下が夫婦、上が子ども用スペースとなっています。

階段室を中心にぐるりと回れる家

旗竿地に建つ、地上3階建ての木造住宅(延床面積約116㎡)。

階段を中心にぐるりとめぐるつくりで、トップライトから光が落ちる1階部分には、親世帯のリクエストである書庫がつくられています。

手前のタイル部分は、子どもと一緒に本を読むスペース。

自然と家族が集まり、会話が生まれそうな素敵なアイディアですね。

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