「ケガ、擦り傷、切り傷、やけどなどで痕に残りやすいのは、面積ではなく傷が深いものです。やけどでいうと熱傷が深いもの。なるべく痕にしないためには、初期対応が大切です」
こう話すのは、医療法人社団 豊受会 豊受クリニックの高野弘之先生。傷ややけどの対処法について教えてもらった。
「傷の手当てをするときに、患部を消毒したり乾燥させたりすると、治りが悪くなります。消毒はせず傷表面の汚れを水道水で流すだけで十分です。消毒は10年ほど前までは常識でしたが、現在は皮膚を再生するための細胞の働きを障害してしまい、逆効果であることが分かっています」(高野先生 以下同)
高野先生によると、ガーゼやばんそうこうも、本来持つ自己治癒力を阻害するため、傷の治りが悪くなるそう。
「実は、傷から出た汁に自己治癒力があります。手当てするときは傷から出る汁を吸ってしまうばんそうこうやガーゼは使わずに、乾かさない手当てをしましょう。自己治癒力を高めるために、患部を乾かさないばんそうこうもありますが、値段が張りますし使いやすいケガも限られているので、食品に使うラップで済むことも多いのです。こういった方法を『湿潤療法』と呼び、実践する人も増えていますが、この方が傷の治りが速く、痕が残りにくくなります」
●「かさぶた」は消毒することでできたもの
ちなみに、傷が治りかけてできるといわれる「かさぶた」は皮膚になるはずだった細胞がミイラ化したものだそう。消毒して乾かすことでかさぶたの下が菌のはびこる温床となり、化膿することもあるとか。
では、水ぼうそうやにきびなど、かくと痕に残るといわれる症状の対応は?
「水ぼうそうや湿疹、にきびなど、小さい子がかくのを止めることはできませんよね。かくと、とびひになることもありますが、そこまで痕に残るものでもないため、子どもがかくに任せておけばいいと思います」
子どもがケガややけどをすると、親も慌ててしまいがち。将来、痕に残さないためにも、病院に行く前の冷静な初期対応を目指してみて。
(石水典子+ノオト)