歯科訪問診療の必要性 | 超高齢社会での歯科訪問診療の実状

歯科訪問診療の必要性 | 超高齢社会での歯科訪問診療の実状

超高齢社会の歯科訪問診療の実状

日本は今、総人口における高齢者の割合が29.1%(2022年9月現在)と、約3人に1人が高齢者という超高齢社会です。そして高齢化に伴い在宅医療を受ける方が増えており、歯科訪問診療の需要増加も見込まれます。ところが、歯科訪問診療を必要とする層は増加しているにもかかわらず、高齢者の歯科受診率は減少しているのが実状です。

要介護認定者数の増加

高齢化によって、要介護認定者数の推移も上昇し続けています。厚生労働省によると、2020年度の要介護(要支援)認定者数は約682万人でした。これは、前年度(2019年)と比較すると約2.0%、公的介護保険制度が開始された2000年度の認定者数約256万人から比較すると約2.66倍も増加していることがわかります。

高齢者の歯科受診率の減少

その一方で、高齢者の歯科受診率は75〜79歳をピークとし、その後急速に減少しています。また高齢者の歯科医療は外来を中心に行われており、歯科訪問診療はまだ広く普及していないことも注目すべき点です。実際、歯科訪問診療対応の実績を有する歯科医院は、2割程度にとどまるということです。

口腔内のトラブルの健康リスク

高齢者の多くは何らかのお口のトラブルを抱えていますが、通院が困難な要介護者が歯科訪問診療を利用していないとなれば、トラブルを放置した状態です。口腔内のトラブルは、全身の不調にもつながります。口腔内細菌による全身疾患のリスクとして、呼吸器系疾患や心疾患、糖尿病などが挙げられます。反対に、身体の不具合から口腔トラブルにつながるケースも考えられます。

医科歯科連携の取り組み強化

そこで求められるのが、医科歯科連携の取り組み強化です。医科歯科連携とは、医科と歯科が協働することにより、患者様に対して総合的な治療を提供するものです。医科と歯科の双方で情報が共有されることにより、医療提供がスムーズになるほか、継続的で一貫した診療が可能です。そして医科歯科連携によって、今まで口腔トラブルを放置していた方の歯科訪問診療の利用者が増えることも期待できます。歯科訪問診療が普及すれば、何らかの事情で歯科受診できていなかった方も、適切な診療が受けられるようになるでしょう。

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