●モンスターワーママと呼ばれてしまうワケとは?
赤井さんによると、モンスターワーママたちに共通する最大の特徴は、“感謝と共感能力の欠如”なのだそう。
「少し前まで、ワーキングママの時短勤務をはじめ、企業のさまざまなサポートというのは、『受けられないことが普通』でした。それから時代が変わり、今は『受けられて当然』になってきています。それにともなって、一緒に働くメンバーに対しての“感謝”が欠如してきていると思います。社会的にも会社が子育て中のママを応援しないといけない風潮がありますので、権利だけを主張するママが増え、結果“モンスター”と呼ばれるようになってしまったのではないでしょうか」(赤井さん、以下同)
同僚たちにとっては、育児をしていようがいまいが、一緒に働きやすければ問題はないはず。しかし、どうしても子どもがいると、予測不能なことも起きがち。そこを周囲がサポートしてくれることについて、当然と思うのか、感謝の気持ちをあらわすのかで、評価が分かれてしまうそう。
「モンスターワーママと呼ばれる人は、おそらく子どもを産む前も、空気を読まなかったり、周りに配慮しない言動が多かったりすると思います。というのも、“共感能力”が欠如していることが考えられるからです。たとえば、『お願い事をされるならこういう言い方をした方がきっと相手も嬉しいだろうな』とか、相手の気持ちを配慮できる人であれば、子どもの世話で仕事に穴を開けなくてはいけないときでも、『心苦しく思っている』ということをきちんと伝えるはず。もし仕事が大変なときに抜けなくてはいけないのであれば、後日袋菓子ひとつでも渡せば、本心では迷惑だと思っている同僚も『気にしなくていいよ』という気持ちになるものです」
では、モンスターワーママはというと……?
「自己中心的になってしまうので、どんなに会社が忙しいときでも“悪びれずに”帰ってしまいます。むしろ、『ワーキングママが遠慮する社会がおかしい!私が変える!』という使命感を抱いているからこそ、余計に身近な同僚のことが見えていないのかもしれません。もちろん、育児期ママのサポートを充実させようとする社会の流れというのはこのまま続いていくべきです。ただ、社会や会社がいくら制度を整えて働きやすい環境にしたとしても、同僚に負担が回ってしまうのであれば、反感にもつながってしまいますよね。なので、最低限感謝の気持ちと、迷惑を掛けてしまったときの申し訳ないという気持ちは示してほしいと思います」
●モンスターワーママにならないためには?
ただ、仕事ができる人の方がモンスターワーママになる傾向にあるというから、余計にたちが悪い模様。
「仕事ができなくて自信がないワーキングママは、そもそも“モンスター”にはならないです。きちんと権利を主張できるということは、気が強いし仕事も出来る。ただ、共感能力の欠如にもつながりますが、『自分が時短だから、あなたが時短でも手伝うよ』とはならない。それは、やはり自己中心的で、自分だけ得したいという気持ちが強いんです。そのため、後輩のワーキングママにはやたら厳しく、自分に迷惑を掛けてほしくないという態度を露骨に取ることもあるのです」
では、もし職場にモンスターワーママがいたときにはどう対処すればいいのでしょうか?
「モンスターワーママは、『出産という偉業を成し遂げた私はスゴい』という評価で生きていることが多いです。もちろんスゴいことなのですが、会社という組織で働いている以上、協力して仕事を進めなければいけません。もし、モンスターワーママによって仕事量が増えるなど、あなた自身に負担が掛かっているのであれば、まずは上司に相談してみましょう。本人に進言しても攻撃される可能性もありますので。また、もしモンスターワーママの上司の立場であるならば、第三者を同席させたうえで、同僚への共感を示すように注意をすることも必要でしょう」
育児中はどうしても視野が狭くなりがち、と赤井さん。同僚からモンスターワーママのレッテルを張られるかどうかは、どれだけ周囲への視野を広く持ち、共感能力を発揮できるかがポイントのようです。もし自分がモンスターワーママになっていないか心配な人は、余裕があるときには何か手伝えることがないか周囲に提案してみるなど、配慮を見せるだけでいいのかもしれません。それがひいては、自分自身の職場での居心地の良さにもつながるはずです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)