就学支援(指導)委員会はなにをするところ?話し合いの基準は?

就学支援(指導)委員会はなにをするところ?話し合いの基準は?

小学校入学を控えた子どもの発達について心配や不安があるときに考えたい「就学相談」。就学相談シリーズ第2回は、「就学支援(指導)委員会」についてお伝えします。

「就学支援(指導)委員会って、なにをするところなんだろう?」
「就学支援(指導)相談会には、利用した方がいい?しない方がいい?」
就学相談を進めていくと、このような悩みが出てくることがあると思います。
そこで今回は、以下の点がクリアになるように、就学支援(指導)委員会の調査員の経験をもとに、解説していきます。

・就学支援(指導)委員会って、そもそもなにをするところ?
・何を基準にして、委員会で話し合いがされるの?
・子どものどんな様子で判断されるの?

■【就学相談 第1回】小学校入学に向けて年長になったら考えたいこと

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就学支援(指導)委員会ってなに?
就学支援(指導)委員会とは、特別支援にかかわる専門家が集まって、その子どもの適切な就学先を助言する会議です。
委員会のメンバーは、以下の人達で構成されています。

・医師
・学識経験者
・小学校、中学校、特別支援学校の教職員
・児童福祉施設などの職員

このほかに就学調査員がこの会議までに子どもの様子を観察したり、検査を取ったりして子どものの状態を記録します。
記録を見ながら専門家同士で話し合いをして、その子に合った進学先を提案するのです。
就学相談のスケジュールの中に「就学支援(指導)委員会」と組み込まれていることが多いですが、委員会にかけるかどうかは保護者が決めます。
相談を進めていくうちに、「就学支援(指導)委員会にかけますか?」ということを聞かれますので、そのときに判断すれば大丈夫です。

就学支援(指導)委員会の流れ
就学支援(指導)委員会は、発達や障害に詳しい専門家が集まります。
対象となる子どもをひとりずつ書類で確認し、その子がどの校種へ就学するとよいと考えるか、助言を出します(これを「適(てき)」と言います)。就学支援(指導)委員会の流れ(例)は以下のとおりです。

1.就学相談調査員が、子どもの調査結果を発表する
2.委員会メンバーとの質疑応答をする
3.委員会の意見を出し切ったところで、その子どもにはどの校種が適しているか判断する
4.後日、保護者に向けて「指導・助言」という形で知らせる

たとえば「支援級適」という結果がでた場合、「このお子さんは専門的に見て、(入学時点では)支援級で学ぶことがよいと思われる」という意味になります。

就学支援(指導)委員会の前にはどんなことが調査されるの?
調査には「年間を通した調査」と「就学相談会での調査」があります。

【年間を通した調査】
1年を通して、自治体の特別支援担当職員がその子どもの様子を観察します。
発達センターで個別のやりとりを重ね、その子どもの特性を見て記録を重ねていくのです。ときにはセンター職員が幼稚園・保育園をたずねて、園での子どもの様子を確認します。集団で過ごす様子は、小学校へ上がるときの重要な情報です。園の先生と面談をして、園での困り感があるかどうか聞き取りも行われます。
センター職員が園を訪問する際は保護者の方に事前にお知らせがありますので、園からセンターに話してほしいことをあらかじめ伝えておくとよいでしょう。

【就学相談会での調査】
就学相談会が行われる自治体もあります(名称は地域によって異なります)。
相談会では現場で働いている職員(就学支援(指導)委員会のメンバー以外)が、客観的な目で子どもを見て特性を判断します。ここでまとめられた調査結果が、就学支援(指導)委員会での基本資料となるのです。
調査項目の一例を、ご紹介します。

・行動の観察
・認知の観察
・運動機能の観察
・発達検査

このほかにも保護者の相談にのったり、各種学校現場に即した話をします。就学相談会の日程や流れは、自治体のホームページなどで確認するとよいでしょう。

就学に関する助言ってなに?
就学支援(指導)委員会では審議の結果として、「特別支援学級適である」のように、ひとりずつの子どもに対して適する学級を通知します。
しかし何年か前までは、この通知に不満を抱えながら言われた通りに子どもの就学先を決めた保護者がたくさんいました。
なぜなら以前までは、「就学支援(指導)委員会の通達のとおりに進学先を決めなければならない」と考えられていたからです。
以前は就学支援(指導)委員会からの意見を「答申」と呼び、それが答えであるかのような扱いがされていました。
しかし現在、文部科学省の報告では、「本人・保護者の意見を最大限尊重し、(中略)合意形成を行うことが原則」とあります。
つまり就学支援(指導)委員会の審議はあくまで参考であり、どの校種に就学するかは各家庭で決めてよいということです。
ですから就学支援(指導)委員会にかけたからといって、子どもや保護者の不利益になることはなく、各家庭の意思を尊重することができるのです。

就学支援(指導)委員会をうまく活用しよう
いろいろなウワサが飛び交っている就学支援(指導)委員会ですが、昔と今ではかなり様子が変わっています。専門家や現場の教員の意見を聞くいい機会になりますので、ぜひ上手に利用してもらいたいと思います。

今回は就学支援(指導)委員会について、お伝えしました。
就学相談シリーズ第3回(9月上旬公開予定)では、「家族でできる就学対策」について詳しく解説します。

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