女性器コンプレックスを持つ人は増えているの? 同書の著者で婦人科形成「なおえビューティークリニック」の喜田直江院長に聞いた。
「女性器に関するコンプレックスは、近年増えているというよりも、表面化したといったほうがいいかと思います。こうした悩みはこれまでは治療することができなかったため、ひとりで悩み続けていた女性が多いのですが、近年は治療が可能になってきています」(喜田院長 以下同)
●多い悩みベスト3は、ひだの大きさ、ちつのゆるみ、性交痛
女性器に関する悩みには、どんなものが多いのだろうか。
「女性器コンプレックスに多い悩みは、上から順に『ひだ(小陰唇)が大きい』『ちつのゆるみ』『性交痛』です。一番多い『ひだ』の悩みは10~70代と幅広い世代に見られ、『ちつのゆるみ』は出産後、あるいは加齢とともに増えてきます」
また、「性交痛」には大きく分けて2つの原因があるそう。ひとつは、20~30代に見られる「処女膜強靭症」で、「痛くて挿入できない」という症状。もうひとつは、おもに50代以上の女性に見られる、更年期によるものだ。
ほかに「黒ずみ」「ニオイ」「毛深い」など、様々なコンプレックスがあるという。
「ニオイについては、感染症などにかかっていない限り、ヘアのケアをすればほとんど解決するのですが、日本人は欧米諸国に比べて陰毛ケアに無頓着な傾向があるため、意外と多い悩みとなっています」
女性器コンプレックスによって実際に困るのはどんなことだろうか。
「デリケートな悩みのために、他人に相談しにくいこと。また、医療機関に相談しても『出産すれば誰でも』『命にかかわる病気じゃないんだから、気にしすぎ』などと言われてしまうケースも多いことです。誰にも理解されず、自分に自信がなくなったり、セックスできなくなったりするケースも実は多いのです」
●産後のセックスレスの原因にも?
また、本人はコンプレックスとして認識していなくとも、セックスレスの原因となっている可能性もあるのだとか。
「出産直後はホルモンの影響から性欲がなくなったり、会陰切開の傷により、しばらくセックスできなくなったりすることもあります。しかし、前者は授乳をやめると、後者は出産後2~3カ月経つと、元通りになるのが一般的です。もし、産後にパートナーとセックスをしたものの、その後レス状態になっているとしたら、女性の育児疲れもあるかもしれませんが、産後のゆるみなど、女性器の変化によって、知らず知らずのうちにセックスをあまり楽しめなくなっている可能性もあります」
愛する人と交わりたいのに、交われない「女性器コンプレックス」。もし誰にも言えない悩みを抱えているとしたら、今は治療により簡単に解決する症状も多いため、一度専門医を受診してみては?
(田幸和歌子+ノオト)