“甘えさせるママ”と“甘やかすママ”の境界線とは?

第1回 “甘えさせるママ”と“甘やかすママ”の境界線
子を“甘えさせること”と、“甘やかすこと”。この違いを知っていますか? あらためて言われてみると、あまり深く考えたことがないという人も多いのでは? その境界線とは? 『一人でできる子が育つ テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者・立石美津子さんにお話しを伺いました。

●“甘えさせること”と“甘やかすこと”の違いをしっかり理解し対応することが子の健やかな成長にとても重要

「“甘えさせること”と、“甘やかすこと”。この二つは似ているようでまったく違い、その違いをしっかり理解して対応することが子どもの健やかな成長にとってとても重要です」
(立石さん 以下同)

では、次の2つの例はどちらに当てはまるだろうか?

1)菓子や玩具を子どもが望めばいくらでも買ってやる。

2)転んだとき、“痛い 痛い”とママのところへ泣きながら訴えにきたとき、“痛かったね”と慰めてやる。

正解は、2が“甘えさせること”で、1が“甘やかすこと”。では、その二つの境界線とは?

“甘えさせるママ”と“甘やかすママ”の境界線とは?

●“甘えさせること”は、求める対象が人。“甘やかすこと”は、求める対象が物や不必要な行為

「“甘える”ということは、親の愛情を求める行為です。ママのぬくもりを求めてきたり、“見て見て!”と何度も話しかけてきたり、絵本読んでと言ってきたり。時にわがままを言ったり、グズったりしてママを困らせたり。つまり、求める対象が人になっているのです。何か物を与えることではありません。越えられないハードルをママがサポートしてあげることなのです」

一方の“甘やかす”ことは、どうだろうか?

「“甘やかし”とは、そこに物が介入します。さらに、子どもが我慢できたり一人でできることなのに、“可哀そうだから”“難しそうだから”と、すぐに手を貸してやることです」

似ているようで、この二つには、まったく違うという。そして、この違いをきちんと理解していない人が多いことが、“甘えはいけないもの”と必要以上に厳しく育てようとしたり、誤解されてしまう大きな原因になっているのかもしれない。しかし、“甘えさせること”は、とても大事なことだと、立石さんは話します。

「子どもは、自分の気持ちや主張、情緒的要求を受け入れてもらうことで、自分の存在価値や親の愛情を確認しているのです。“甘え”を受け止めてもらったときに、“自分は大切にされている”と安心感をもち、その気持ちは“自分でがんばろう”という意欲につながっていきます。そして、その意欲こそが、自立につながっていくのです」

子どもの情緒的な欲求には満足いくまでしっかり応えてやること。そして、物質的欲求はきちんと制限すること。“甘えさせること”と、“甘やかす”ことの境界線は、そこにあるようです。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

立石 美津子
立石 美津子
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。