●十分に甘えさせてもらった人が自立する
「子どもの“甘え”は、親の愛情を求める行為です。つまり、“甘えさせる”ことは、必要な欲求に応えてあげることなのです。ママにスキンシップを求めてきたり、抱っこをせがんだり、“見て見て!”と何度も話しかけてきたり。これはすべて、自分の存在価値や親の愛情を確認している行為=基本的愛着形成なのです。だからこそ、子どもが甘えてきたときには、とことん甘えさせてあげることがとても大切です」(立石さん 以下同)
つまり、甘えを親に受け止めてもらい育った子は、“自分は大切にされている”という安心感と自信を持ち、“自分でがんばろう”という意欲が出てくる。そして、その意欲がやがて自立につながっていくのだという。
「“甘えさせないこと=自立すること”だと思われがちですが、実は“十分甘えることができた人が自立する”のです、逆に、小さいときに“甘えるんじゃないの!”と拒否された子は子は、なかなか自立できなかったり、人の気をわざと引こうと悪さをしたりするなど様々な問題を抱えたまま大人になってしまう人も少なくありません」
●“甘やかし”は、自立をさまたげ、我慢のできない人間にしてしまう
一方、“甘やかす”ことがいけない理由とは?
「“甘やかす”ことは、不必要なものを与えることです。例えば、自分でできることをさせず、大人が先回りしてやってしまう“過保護”や“過干渉”。我慢しなくちゃいけないことを我慢させなかったり、子どもが欲しがるおもちゃやお金など、物質的な欲求をすぐに受け入れ、無制限に与えてしまったりすることですね。これでは、なかなか自立もできませんし、何より困るのは我慢することが身に付いていないので自分の感情コントロールが出来ずに、どんどんわがままな人間になってしまいます」
“甘えさせること”の重要性と、“甘やかすこと”の弊害をしっかり理解し、区別し、日々の子育てをすることがとても重要だと、立石さんは話します。では、“甘えさせる”のは、何歳くらいまで必要なのだろうか?
「年齢は関係ないと思います。子どもの成熟度にはそれぞれ個人差があります。その子の自立のペースに合わせていけばいいのです。子どもが親の愛情を求めてくるなら、小学生になっても中学生になっても受け止めてあげればいいのです。そして、子どもが自立しようとしているときには、先回りしたり、余計な手出しをせず、温かく見守ってあげましょう!」
“甘えさせること”と“甘やかすこと”。似て非なるこのふたつの行為を区別して、親としてしっかりと導いてあげましょう!
(構成・文/横田裕美子)