1個を比較すると干し柿の方が普通の柿よりも低カロリー
前置きが長くなりましたが、生のまま食べる普通の柿と干し柿のカロリー(エネルギー)、糖質の違いを比較してみましょう。
1個分を単純に比較した場合は、カロリーも糖も干し柿の方が低め。また、干し柿を2個食べると食物繊維が5グラム摂取できることに。15~64歳の女性1日あたりの食物繊維の摂取目標量が18グラムなので、干し柿を2個食べれば目標量の1/4以上をクリアできることになります。
とはいえ、干し柿はカサが小さくなった分、食べ応えを求めてしまうと、食べすぎてしまう危険性も。普通の柿は1日1個、干し柿は1日2個程度を目安にすれば、ダイエット中でも心配ないと言えそうです。
普通の柿(甘柿)と干し柿の栄養価比較(筆者作成)/※参照:奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部,2022、文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』をもとに筆者が栄養価計算
ビタミンCなどの抗酸化パワーは生の柿に軍配あり
一方で、干し柿は、その名の通り干されて水分が抜けた状態となるため、水溶性のビタミンCがほとんどなくなります。また、1個分の栄養を比較した場合、抗酸化パワーが注目されているβ-クリプトキサンチンや体内でビタミンAに変化するβ-カロテン、摂りすぎた塩分を体外へ排出する働きのあるカリウムは、干し柿よりも生の柿の方がより多く摂取できます。
生で食べられる普通の柿は、美肌や免疫力アップをサポートしてくれるビタミンCやβ-カロテンなどの栄養素を、そのまま、いただくことができます。
一方、干し柿は渋抜きや干されることで減ってしまう栄養素もありますが、甘みが増し、カサが小さくなることで1個分のカロリーと糖質もコンパクトになり、罪悪感なく食べやすい点が魅力と言えそう。食後のデザートにはフレッシュな普通の柿を生のまま、小腹が減ったときのおやつには干し柿、という具合に食べ分けるとよいかもしれませんね。
参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、三輪正幸監修『からだにおいしいフルーツの便利帳』高橋書店,2015、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009
(野村ゆき)
配信: LASISA
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